終わりに
国連のデイビッド・ケイ(David Kaye)氏が来日時、
日本外国協会で記者会見を開いています。
その時のコメントの要旨です。
◎私に会ったジャ-ナリストの多くは
冒頭から「匿名でお願いします」と言った。
異例のことだ。
彼らの多くが、有力政治家からの
間接的な圧力によって、仕事から外され、
沈黙を強いられたと訴えている。
◎(特定機密保護法について)何が秘密にあたるのかが、
あまりにも曖昧かつ広範囲です。
日本の安全保障政策や原発に関する報道など、
日本の人々が高い関心を示すであろう
重要なトピックが、
情報を規制されうるトピックでもあるという状況です。
ですから、秘密とは何なのかについて、
透明性の高いかたちで規制を儲け、
明確に定義をする必要があると思います。
・・・・特定機密保護法は実施の初期段階ながら、
重大な社会的関心事について、
メディア報道を萎縮させる影響を
すでに生んでしまっています。
◎(公益通報者保護法について)
ジャ-ナリストや内部告発者を守ろうという力が
非常に弱いと言えます。
・・・・「これを報道すると
法律的に罰せられるのではないか」
「記事の書き方によっては刑事罰を被るのではないか」
というような懸念が出てくるわけです。
そういった危険を排除していく必要があります。
◎(放送法について)
放送法第4条には「政治的に公平であること」と
書かれていますが、
この条文はジャ-ナリストの
職業的義務を謳っているようでありながら、
放送免許の取り消しを行う政府権限とも
混同されています。
第4条の法律違反があれば、業務を停止させたり、
電波停止を命じられると読めることは大きな懸念です。
実際、さまざまな放送メディア関係者は、
過去に処罰された例がないとしても、
やはり脅威であるとはなしていました。
その脅威によってメディアが
弱体化されているという話を聞きました。
・・・・第4条を削除するなど、
放送法は改正する必要がある・・・・
デイビッド・ケイ氏の発言も、
国境なき記者団の声明も本質は同じです。
現実には多くのメディア、
特に新聞・テレビ・ラジオの報道が
以前と違ってきているとの指摘が多くあります。
政治家の圧力もあるかもしれませんが、
問題なのは具体的な圧力の以前に
メディアが萎縮して自主規制しているように
思われることです。
特に日本人に最も見られている
NHKのニュ-ス報道に違和感が
持たれているのは事実でしょう。
籾井勝人氏が2014年1月に
NHK会長に就任してから目立ってきました。
熊本地震の報道に目立つようです。
4月20日にNHKの災害対策本部会議の席上で
籾井会長が次のような発言をしたとの報道がありました。
会議には幹部等100名あまりが出席したようです。
◎原発について、いといろある
専門家の見解を伝えても、
いたずらに不安をかき立てる。
住民の不安をいたずらにかき立てないよう、
公式発表をベ-スに伝える。
◎自衛隊が活動するようになって、
被災地に物資が届くようになったことを報じる。
この発言の「公式発表」とは何をさすのか問題となりました。
その後4月26日に衆議院総務委員会で、
質問に答えて発言内容を認めた上で、
公式発表について次のような趣旨の発言をしました。
◎公式発表とは「気象庁」「原子力規制委員会」
「九州電力」発表した内容である。
これは重大な発言です。
政府側の発表を公式発表として伝えるのであれば、
NHKは北朝鮮や中国の報道を同じことになります。
戦争中の政府・軍部の発表のみを
公式発表として伝えた当時のメディアと同じです。
これでジャ-ナリズムといえるのでしょうか。
やはり72位という報道の自由度は
的を得てるかもしれません。