血圧降下剤の使われ方を見る前に、
最新の患者数を見てみます。
基準は各機関(国、団体、保険会社・・・・)によって
バラバラですし、言い回しも色々です。
2014年(平成26年)の3月発表の厚生労働省
「国民健康・栄養調査報告書」から見てみます。
調査は平成24年のものです。
この調査では次のように区分しています。
◎有病高血圧
上 140mmHg以上 又は 下 90 mmHg以上
◎正常高血圧
上 130~139 下 85~89
薬を飲んでいる人は有病高血圧しか
数字は記載されていませんが、
周囲を見渡すと正常高血圧でもかなりの人が
薬を飲んでいるように思われます。
男性
| 40代 | 50代 | 60代 | 70歳以上 |
高血圧有病者上 | 32.3% | 57.3% | 65.2% | 75.5% |
有病者の内服薬者 | 16.3% | 34.7% | 58.4% | 71.5% |
正常高血圧 | 19.5% | 16.8% | 14.3% | 11.2% |
正常高血圧の内服薬者 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
参考:有病者と正常高血圧の 合計 | 51.8% | 74.1% | 79.5% | 86.7% |
女性
| 40代 | 50代 | 60代 | 70歳以上 |
高血圧有病者上 | 12.6% | 33.5% | 52.8% | 73.3% |
有病者の内服薬者 | 26.0% | 37.5% | 61.2% | 73.2% |
正常高血圧 | 12.7% | 17.0% | 16.5% | 10.7% |
正常高血圧の内服薬者 | 不明 | 不明 | 不明 | 不明 |
参考:有病者と正常高血圧の 合計 | 25.3% | 50.5% | 69.3% | 84.0% |
注:有病者と正常高血圧の合計では各年代の半分以上が、
高齢者では2/3以上が高血圧の扱いを受けています。
高齢者ほど真面目に薬を飲んでいます
女性は閉経期から血圧が上昇するのが分かります。
これだけ高血圧の患者が多いとされているのですから、
薬は想像以上に使われていることは想像できます。
いかに患者を増やして
製薬業界を儲けさせるか政官財
協力して努力している様子が伺えます。
その証拠に血圧の薬の販売は
1988年に2000億円ちょっとだったのが
20年間で1兆円を超えてしまいました。
● グラフで見てみます
注:血圧降下剤には色々種類があります。
高血圧の患者にどんどん薬を与えても
全員が飲むようになれば
売り上げが一定で伸びなくなります。
1999年にWHOのガイドラインで、
ARB(アンジオテンシン系降圧剤)が第一次選択剤に
追加されました。
一人の患者に従来の薬プラスARBも追加して
出されるようになったのです。
従来の薬の売り上げはそのままで
ARBの分が増えてきたのがこのグラフです。
(濃い色の部分です)
[降圧剤の売上げ順位]
武田薬品工業やノバルティス製薬の
降圧剤デ-タ-改ざんが問題になっています。
両社の降圧剤の売上げは
全医薬品のトップクラスになっています。
1位と2位です。
他の薬品も含めて上位ランクの2010年売上げ一覧です。
私たちが購入する時点の売上げではなく、出荷額です。
順位 | 商品名 | 製薬会社 | 出荷額(億円) | 薬の種類 |
1 | プロプレス | 武田薬品工業 | 1229 | 降圧剤(ARB) |
2 | ディオバン | ノバルティス | 1100 | 降圧剤(ARB) |
3 | アリセプト | エ-ザイ | 1055 | 認知症用剤 |
4 | リピト-ル | ファイザ- | 972 | 高脂肪血症スタチン剤 |
5 | モ-ラス | 久光製薬 | 864 | NSAIDs外用剤 |
6 | オルメティック | 第一三共製薬 | 823 | 降圧剤(ARB) |
7 | ミカルディス | アステラス製薬 | 758 | 降圧剤(ARB) |
8 | ノルバスク | ファイザ | 730 | 降圧剤(CA拮抗剤) |
9 | タケプロン | 武田薬品工業 | 709 | 抗潰瘍剤(PPI) |
10 | リュ-プリン | 武田薬品工業 | 659 | 抗がん剤 |
注:上位10位に血圧降下剤が5種類も入っていることは注目です。
ただし薬の特許が切れてジェネリック医薬品に
たえず変わるのであくまでも2010年の数字です。