中国人の日本への連行は
どの様にして決められたのでしょうか。
昭和17年11月27日の
閣議決定「特殊工人」と、
昭和19年2月28日の次官会議決定
「華人労務者内地移入の促進に関する件」の
2つによって行なわれました。
●最初の閣議決定時の内閣
内閣総理大臣・陸軍大臣 東条英機
大蔵大臣 賀屋興宣
商工大臣 岸信介
外務大臣 谷正之
内務大臣 湯沢三千男
内閣書記官 星野直樹
以下省略
注:黄色線の岸信介は戦後の国会で、
中国人強制連行に付いては
良く分からないと答弁していますが、
実は強制連行を閣議決定したときのメンバ-でした
●華人労務者内地移入に関する件
昭和17年11月27日 閣議決定 (原文カナ)
第1 方針
内地における労務者需給は
いよいよ逼迫をきたし、
特に重筋労働部門における
労力不足の著しき現状に鑑み、
先要綱により華人労務者を内地に移入して、
もって大東亜共栄圏の遂行に協力せしめんとす・・・・
第2 要領
1 ・・・・移入する華人労務者は・・・・
差当たり重要なる鉱山・荷役及工場雑役に限る事
2 華人労務者は主として華北の労務者をもって充る・・・・
同種労務者並びに訓練せる俘虜、帰順兵にして素質優良なる者を・・・・
3 華人労務者の募集又は斡旋は
華北労工協会をして新民会その他の現地機関との
連携の下にこれに当たらしむること
4~12 省略
第3 措置
・・・・試験的にこれを行い、
その成績により暫時本方針の全面実施に移るものとする
この法律により、
荷役労務者500人、炭鉱労務者500人の合計1,000人が
試験的に1年計画で移入されました。
そして昭和19年、
次官会議決定で連行は本格的に増えていきます。
この時、岸信介は軍需省次官として参画しています。
●華人労務者内地移入の促進に関する件
昭和19年2月28日 次官会議決定(原文カナ 要約)
・・・・試験移入の成績は概ね良好なるを以って・・・・
左記要領により本格的移入を促進せんとす
第1 通則
1 ・・・・華人労務者の供出又はその斡旋は
大使館、現地軍並びに国民政府
(華北よりの場合は華北政務委員会)指導の下に
現地労務統制機関(華北よりの場合は華北労工協会)をして
これにあたらしむること
2 華人労務者は訓練せる元俘虜又は
元帰順兵の他、募集による者とすること・・・・
3 華人労務者は移入に先立ちなるべく一定期間(1ケ月以内)
現地の適当なる訓練機関において必要なる訓練をなすこ と・・・・
4 華人労務者はこれを国民動員計画産業中、
鉱山業、国防土木建築業及び重要鉱業
その他特に必要と認むるものに従事せしむること・・・・
5 華人労務者の契約期間は原則として2年とし・・・・
以下省略
第2 使用条件
1 ・・・・使用を認める工場事業所は
華人労務者の相当数を集団的に就労せしむることを条件とし、
関係庁と協議の上厚生相がこれを選定すること
2 -1~-5 省略
-6 食事はなるべく華人労務者の通常食を給するものとし、
これが食料の手当てに付いては
農商省において特別の措置を講ずること
3 華人労務者の賃金は内地における賃金を標準となすも、
内地と現地の賃金及び物価の間に
はなはだいしき懸隔ある実情なるをもって
残留家族に対する送金及び持帰金を確保するため、
所要の措置を講ずる事・・・・
第3 移入及送還方法
1 移入及送還に要する経費は
労務者の賃金より控除せざることとし、
原則として工場事業所の負担とするも
差当たり要すれば国家補償等適当の方法を講ずること
2 華人労務者の輸送は
日満関係機関において之が手配を為すこと
第4 其の他
1 工場事業所は華人労務者の防諜
並びに逃亡防止に付特段の配慮を為すこと