放射線の危険性を訴える人でも医療で受ける放射線は安全だと信じている人がいます。
更には自然放射線はむしろ身体に良いんだと言う人もいます。
それは「低線量なら身体に害を及ぼさない」「低線量ではガンになる証拠はない」と皆が信じ込んでいるからです。
医療だろうが自然だろうが放射線は放射線です。
安全な放射線はありません。
原発事故があったり核兵器が使用された地域では人工放射線の懸念があるのは当然です。
しかしそうでない一般の地域では医療放射線に注意を払う必要があります。
自然放射線に関しては次の項目で述べます。
2005年のアメリカ科学アカデミ-の報告の中に私達が日常受けている自然放射線と人工放射線の報告があります。
そこには全放射線の内人工放射線が18%でその内の79%が検査や治療用の放射線と報告されています。
2004年の英国の医学雑誌「ランセット」に出た
オックスフォ-ド大学のBerringtonの調査論文に医療用放射線によるガンの論文があります。
内容は医療制度が整っていると認められる15ケ国での1991年から1996年までの診断用X線の利用状況を分研調査し、
それにともなって発生するガンの数を推定した論文です。
その論文をもとにして作られたのが次の図です。
全部のガンの内、X線が原因と思われるガンの割合です。
国別(マ-ク)で印しています。
●年間1000人当たり何人がX線を受けているかと言うデータ-ですが、
トップの日本(1000人あたり1500回)では一人で年に何回も受けていることが分かります。
●放射線とガンは閾値なしで直線的に発ガンが増え、トップの日本では多いのは当然です。
●日本では、毎年ガン全体の3.2%にあたる7587件のガン発生が見込まれるというものでした。
0.6%だです。
●この数字は黒丸の日本です。これにはCT検査は入っていません。
推測でCT検査を含めたものが黒の2重丸です。
約4..4%位、9905人と計算されます。英国の7倍です。
通常のX線だけでも問題なのに日本ではCT検査が多すぎます。
先進15ケ国の平均の3.7倍くらいのCT装置が導入されていて、さらに増える傾向があります。
2002年12月の調査では世界で4万1000台が設置され、その内日本が1万2868台とずば抜けて多くなっています。
装置があれば「とりあえず」「念のため」・・・という理由でCTが気軽に使われるのは当然だと思いますが・・・・・
次の図は日本のCT装置の設置台数です。
累計台数を見ると設置台数がどんどん増えているのがわかります。
(注:図をクリックすると拡大されます)
次の図は1回の検査に対してどれだけの放射線を浴びるかと言うグラフです。
これは国連の科学委員会の調査です。
☆1回の検査で多く被爆する検査はCT、消化管検査、血管造影が多く、特にCTは大量に被爆することがわかります。
☆逆に骨単純写真や胸部単純写真は思ったより少ない事も分かります。
次は2013年に発表されたCTを受けたオ-ストラリアの青少年の統計です。
68万人と対象とした追跡調査です。
CT検査1回あたりの被ばく量は4.5ミリシ-ベルト(日本よりは低いです)とした計算で、
平均9.5年の観察中に、1回の照射あたり16%のガン増加となっています。