2002年に日本肥満学会で
ウエストの周囲計(腹囲)が発表されました。
(Circurathin Journal、66,987,2002)
この論文の出頭著者は
当時大阪大学医学部教授の松澤祐次氏です。
メタボ検診の「特定検診・特定保健指導の概要」では
まず保健指導対象者の選定をします。ステップ1です。
ステップ1:
腹囲とBMIで内臓脂肪蓄積のリスクを判定する
(1)腹囲 男性:85cm以上、女性:90cm以上
(2)腹囲 男性:85cm未満、女性:90cm未満かつBMI25以上
(3)腹囲 男性:85cm未満、女性:90cm未満かつBMI25未満
注:男性を例にすると、まず腹囲を85センチ以上と以下に分けて
さらにBMIを25以上と以下に分けます。
(1)が一番悪い、(2)が次に悪いということです
(3)の人はリスクなしとして指導は行なわれません。
(3)の人でも成人病患者は沢山いますし、
やせている人でも糖尿病患者はいます。
むしろやせすぎの方がリスクは高いので、
下限値の表示も行なうべきでしょう。
ウエストの周囲を臍の位置で測定し、
男性85センチ、女性90センチの人が問題視されます。
この測定方法は問題があるため
WHOから何度も是正勧告を受けていて、
2010年に変更されました。
まず腹囲を臍の位置で測るのは日本だけです。
女性は妊娠や出産があるため
骨盤の位置が男性より高く、
臍の位置で測定すると骨盤にかかって
大きくなって本当の腹囲にはならないのです。
欧米ではあばら骨の下と骨盤の上端の
中間で測るようにしています。
それが本当の腹囲だと言えます。
男性の場合は日本式でも欧米式でも
ほぼ同じ位置になります。
次に85cmとか90cmの基準です。
特に男性の腹囲85cmはちょっと小太りの
叔父さんなら殆ど当てはまってしまいます。
中高年の男性のほとんどは
ここでまず引っかかってしまいます。
厚生労働省の統計から
40代以上を過去との比較で見てみます。。
平成19年から23年まで抜けていますがほとんど変化ありません。
● 国民健康・栄養調査から
男性 腹囲85センチ以上
年齢 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成24年 |
40~49歳 | 53.2% | 49.7% | 54.4% | 54.2% |
50~59歳 | 55.1% | 54.5% | 54.8% | 53.1% |
60~69歳 | 59.7% | 58.7% | 57.8% | 58.5% |
70歳以上 | 56.3% | 55.4% | 55.8% | 58.2% |
40~74歳 | 57.6% | 55.9% | 56.6% | 55.8% |
女性 腹囲90センチ以上(妊婦を除く)
年齢 | 平成16年 | 平成17年 | 平成18年 | 平成24年 |
40~49歳 | 14.9% | 9.8% | 8.2% | 11.4% |
50~59歳 | 17.7% | 17.4% | 19.4% | 17.3% |
60~69歳 | 27.2% | 29.5% | 26.1% | 22.3% |
70歳以上 | 30.8% | 32.9% | 29.6% | 28.2% |
40~74歳 | 22.3% | 22.4% | 20.5% | 19.2% |
注:男性、女性とも中高年の
40歳以上を表の一番下に書きました。
男性の40歳以上のどの世代でも
半数以上が引っかかります。
男性の50%以上が引っかかるのは、
長寿の国の男性の半分以上が異常なのでしょうか?
男性が多いのは基準が厳しいから、
女性の%が少ないのは測定位置が変だからだと思います。
外国のように男性90以上、女性80以上にすれが、
男女とも同じような数字になるかもしれません。
参考までに外国との規準の比較をしてみます。
IDF 2006年時点
国 /人種グル-プ | 性別 ウエスト周囲径 |
欧州人 | 男性 ≧94cm 女性 ≧80cm |
南アジア人 | 男性 ≧90cm 女性 ≧80cm |
中国人 | 男性 ≧90cm 女性 ≧80cm |
日本人 | 男性 ≧85cm 女性 ≧90cm |
中南米人 | 暫定的に南アジア人の基準を使用 |
サハラ以南の南アフリカ人 | 暫定的に欧州人の基準を使用 |
東地中海・中近東(アラブ)人 | 暫定的に欧州人の基準を使用 |
米国 | 男性 ≧103cm 女性 ≧89cm |
Diabetes Medicine、23、469-480,2006
◎WHOでは ウエスト/ヒップ比率
男性0.90以上 女性0.85以上