前回は交感神経と副交感神経が
どこでどのように働くかを表にました。
次はそれらの神経がどのようにして
目的の場所に作用するかを考えます。
伝達する神経の仕組みです。
神経細胞(ニュ-ロン)の模式図を下に書きます。
神経から次の神経への信号は電気信号ですが、
軸索の髄鞘のくびれの部分でパルス信号になって、
信号を次の神経に伝える為にシナプス(接続部)到達します。
シナプスでは受けた信号によって
色々な化学物質を「神経伝達物質」として放出し
次の神経に情報を伝達します。
つまり沢山あるシナプスを複雑に経由することで
身体の各部に信号を伝えているのです。
その時に放出する神経伝達物質の違いや量によって
「昂奮」と「抑制」の信号を微妙に調整をしています。
シナプスの模式図です。
シナプス(接合部)で放出される神経伝達物質は主として
◎交感神経 アドレナリンやノルアドレナリン
◎副交感神経 アセチルコリン
ですが、最終到達のところ(目的)では
さらに多くの神経伝達物質が放出されます。
ではどのような神経伝達物質が出ているでしょうか。
上記を含めて代表的な名前で、
時々耳にする名称の色を変えます。
◎アミノ酸系
アスパラギン酸・グルタミン酸・
γ-アミノ酪酸(GABA)・グリシン・タウリン
◎モノアミノ酸系
ドパミン・チラミン・フェネチルアミン・
フェニルエタノ-ルアミン・セロトニン・メラトニン
ヒスタミン・アドレナリン・ノルアドレナリン
◎アセチルコリン(ACh) .
アセチルコリン
◎ポリペプチド類
ボンベジン・ガストリン放出ペプチド・ニュ-ロテシン
ガラニン・カルシトニン遺伝子関連ペプチド・ガストリン
◎神経ペプチド
N-アセチルアスパラチルグルタミン酸
神経ペプチド・膵ペプチド
◎オピオイド系
副腎皮質刺激ホルモン・ベータリボトロピン
ダイノルフィン・エンドロフィン
◎セクレチン類
セクレチン・モチリン・グルカゴン・成長ホルモン放出因子
◎タキキニン類
ニュ-ロキニンA,B,
◎他
そしてシナプスでは、
神経伝達物質を受け取る次の神経の
受容体にも種類があります。
代表的なのは、
◎交感神経の受容体では
α1、2 β-1,2、3
◎副交感神経の受容体では
ムスカリン受容体、M1~5
ニコチン受容体 Nm、Nn、CNS
私たちの身体は病気になって
自律神経に変調をきたした時には
自動的に治そうとしますが、
自分自身で手に負えないときには
薬の力を借りることになります。
自律神経の調整を薬で何とかしようとします。
自分自身の自律神経の調整に頼らず、
「神経伝達物質」を薬として使用して
直接病気や変調を治そうとするのです。
しかし「神経伝達物質」は色々な作用があるので
思いがけない所にも作用する可能性があります。
現在多くの薬で、自律神経に影響を与える、
つまり「神経伝達物質」を出したり、止めたり、
受容体を作動させたり、遮断したりする薬が
使われています。