化学兵器禁止条約で決められた
処理期限は10年となっています。
しかし現実には無理な為何度も延長されています。
2013年の時点では、
発掘されたもガス弾の移動処理に関しては5年、
ハルバ嶺については10年を目標とされています。
●2012年4月現在の保管総数を
「内閣府・遺棄化学兵器処理担当室」資料から見てみます。
保管場所 | 総数 |
チチハル(黒竜江) | 2,115 |
ハルビン(黒竜江) | 1,502 |
瀋陽(遼寧) | 282 |
北京 | 4 |
南京(江蘇) | 35,643 |
長沙(湖南) | 64 |
龍井(吉林) | 57 |
ハルバ嶺(吉林) | 4,629 |
通化(吉林) | 13 |
肇慶(広東) | 67 |
大連(遼寧) | 8 |
南寧(広西荘族自治区) | 5 |
天津 | 3 |
甘粛(山西) | 229 |
洛陽(河南) | 1 |
周口(河南) | 53 |
唐山(河北) | 46 |
石家荘(河北) | 1,333 |
武漢(湖北) | 44 |
広州(広東) | 245 |
寧安(黒竜江) | 342 |
鶏西(黒竜江) | 40 |
伊春(黒竜江) | 347 |
チャムス(黒竜江) | 99 |
碾子山(黒竜江) | 261 |
北安(黒竜江) | 43 |
バインノ-ル(内モンゴル) | 1 |
ホロンバイル(内モンゴル) | 1 |
安慶(安黴) | 1 |
合計 | 47,478 |
2013年5月10日と12月19日に
「内閣府・遺棄化学兵器処理担当室」において
質疑応答が行なわれました。
その結果を簡単に整理します。
◎中国南部
南京 2012年6月に36,000発の爆弾処理が完了
1997年に事業開始後15年かかった。
杭州、安慶、合肥などから移動したものも含む
廃棄物の処理は進行中
残留ヒ素の処理は未解決
武漢 処理が進行中
保管庫や道路整備は完了
2013年中に250発処理の予定
広州 処理地の環境整備に手間取っている
借地や処理予定地が確保されず協議中
◎中国北部
石家荘 2012年末試験処理終了
1,500発の処理に2013年5月着手
2013年中に1,411発処理完了予定
天津、北京、大同等からも移送する予定
2014年夏に終了予定
ハルピン かなり大量に処理する予定
処理地等の選定で現在日中で協議中
ハルバ嶺 遺棄毒ガス弾が最も大量に蓄積されているといわれていたが、
発掘が進むにつれて通常弾は意外に多く、
毒ガス弾は40万発を下回ると思われる。
2012年末試験的発掘開始
2013年9月以降本格発掘開始
吉林省蓮花泡、黒龍江省ジャムス等は
調査中で掘って見なければ分からない。
質疑応答を簡単に整理しましたが、
次に政府が発表した実際の処理内容を表にしました。
内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室の資料です
●平成24年12月までに外務省調査で回収された分も含め、
約5万発の化学砲弾等を発掘、回収しました。
| 年月 | 場所 | 内容 |
第1回 | 平成12年9月 | 黒龍江省北安市 | きい弾を中心に897発を発掘、回収 |
第2回 | 平成13年12月 | 江蘇省南京市 | あか筒、みどり筒を中心に9,419発を発掘、回収 なお、同地は前年の外務省現地調査によって17,612発 発掘、回収されていたもの |
第3回 | 平成14年9月 | 黒龍江省孫呉県 | あか弾、きい弾等を中心に377発を発掘、回収 |
第4回 | 平成15年9月 | 河北省石家荘市 | きい弾を中心に47発を発掘、回収 |
第5回 | 平成16年6月 | 黒龍江省チチハル市 | きい弾を中心に542発を発掘、回収 |
第6回 | 平成16年8月 | 河南省信陽市 | あか弾を中心に67発を発掘、回収 |
第7回 | 平成16年9月 | 黒龍江省安寧市 | あか弾、きい弾等を中心に89発を発掘、回収 |
第8回 | 平成17年7月 | 広東省広州市 | あか弾を中心に13発を発掘、回収 |
第9回 | 平成17年9月 | 黒龍江省伊春市 | あか弾、きい弾等を中心に281発を発掘、回収 |
第10回 | 平成17年11月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある374発の砲弾等を発掘、回収 |
第11回 | 平成18年6月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある231発の砲弾等を発掘、回収 |
第12回 | 平成18年7月 | 黒龍江省安寧市 | あか弾、きい弾等を中心に210発を発掘、回収 |
第13回 | 平成18年8月 | 黒龍江省綏化市望奎県 | 発見されハルビン市に輸送された砲弾等について、 あか弾、きい弾等を中心に697発を回収 |
第14回 | 平成18年9月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある418発の砲弾等を発掘、回収 |
第15回 | 平成19年2月 | 広東省広州市 | あか弾、きい弾等を中心に97発を発掘、回収 |
第16回 | 平成19年3月 | 江蘇省南京市 | 旧日本軍の可能性(あか筒)のある2,701発の砲弾等を発掘、回収 |
第17回 | 平成19年9月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある729発の砲弾等を発掘、回収 |
第18回 | 平成20年3月 | 広東省広州市 | 旧日本軍の可能性のある7発を発掘、回収 |
第19回 | 平成20年9月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある419発を発掘、回収 |
第20回 | 平成20年11月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある379発を発掘、回収 |
第21回 | 平成21年7月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある549発を発掘、回収 |
第22回 | 平成21年9月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある103発を発掘、回収 |
第23回 | 平成22年8月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある156発を発掘、回収 |
第24回 | 平成22年9月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある100発を発掘、回収 |
第25回 | 平成22年11月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある75発を発掘、回収 |
第26回 | 平成23年3月 | 広東省広州市 | 旧日本軍の可能性のある29発の砲弾等を発掘、回収 |
第27回 | 平成23年5月 | 広東省広州市 | 旧日本軍の可能性のある8発の砲弾等を発掘、回収 |
第28回 | 平成23年7月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある29発の砲弾等を発掘、回収 |
第29回 | 平成23年8月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある37発の砲弾等を発掘、回収 |
第30回 | 平成23年9月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある59発の砲弾等を発掘、回収 |
第31回 | 平成23年11月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある105発の砲弾等を発掘、回収 |
第32回 | 平成23年9月 | 黒龍江省伊春市 | 旧日本軍の可能性のある76発の砲弾等を発掘、回収 |
第33回 | 平成23年10月 | 黒龍江省ハルビン市 | 旧日本軍の可能性のある49発の砲弾等を発掘、回収 |
第34回 | 平成24年4月 | 広東省広州市 | 旧日本軍の可能性のある33発の砲弾等を発掘、回収 |
第35回 | 平成24年6月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある314発の砲弾等を発掘、回収 |
第36回 | 平成24年7月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある357発の砲弾等を発掘、回収 |
第37回 | 平成24年8月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある205発の砲弾等を発掘、回収 |
第38回 | 平成24年9月 | 吉林省英安林場 | 旧日本軍の可能性のある171発の砲弾等を発掘、回収 |
第39回 | 平成24年11月 | 吉林省蓮花泡 | 旧日本軍の可能性のある93発の砲弾等を発掘、回収 |
2014年12月23日、
内閣府大臣官房遺棄化学兵器処理担当室から
最新の発表がありました。
12月26日から湖北省武漢市と
その周辺に保管されていた
約120発を年内に処理するとのことです。
南京市の約35,000発の処理が
2013年8月に終了した為
そこで使用していた移動式処理施設を移転する方針です。
●次の図は毒ガス弾の処理の地図です。
政府発表の地図に「ABC企画委員会」で数量を書き込んだものです。
●処理にかかる費用には毎年何100億もかかっています。
2011年予算 220億
2012年予算 203億
2013年予算 240億
今後はハルバ嶺を始め
他の地区の処理が増える為
更に増えるかもしれません。
現在中国との間がキクシャクしていますが、
政府間では少しずつ日中協力して
毒ガス弾処理を進めていることは事実です。
マスコミはもう少し国民に
知らせるようにする必要があると思います。