前項目の最後方に書いた政府の憲法問題調査委員会について,
そしてその後の動きを書きます。
●憲法問題調査委員会の趣旨
注:原文カナ、読みやすくしました
昭和20年10月27日
1. 調査の目的は憲法改正の要否及び必要ありとせば
其の諸点を闡明するに在るから、
まず憲法全般にわたりて内外の立法例、
学説等に関する研究を為し
充分の資料を備え以て
極めて慎重に調査を遂げんとするものである。
2. 上述せる次第であって、
調査の具体的範囲等は初めより確定せるものではないから、
寧口管制に依るものに非ざる調査会を設置することとなした。
3. 調査の目的は前に述べたとおりであるから、
委員には専ら憲法関係の最も堪能なる学者を依頼することとし、
又調査の目的の性質上なるべく少数とする方針を建て、
既に、
宮沢俊義・東大教授
河村又介・九大教授
清宮四郎・東北大教授
石黒武重・枢密院書記官長
楢橋渡・法制局長官
入江俊郎・法制局第一部長
佐藤達夫・法制局第二部長
に委員を嘱託した。
尚向後必要に応じこれを増員することもあるべく、
また別に若干名の補助員を依頼する考えである。
1. 前項の委員の外、憲法学の泰斗たる碩学者若干名を顧問として
調査の指導を乞う考えを以て既に
清水澄・帝国学士院会員
美濃部達吉・帝国学士院会員
野村淳治・東大名誉教授
に依頼した。
尚、佐々木惣一(帝国学士院会員)にも顧問を依頼するつもりであるが
未だ面談が出来ぬため遅れて居る。
以下省略
●1945年11月29日、
アメリカ統合参謀本部は天皇の戦争犯罪行為の有無につき
調査するように命令を出した。
返事は翌年の1月25日にされた。
● 同 12月8日、
憲法問題調査委員会の委員長である
国務大臣松本烝治が憲法改正4原則を議会で発表
◎憲法改正4原則
1.天皇が統治権を総攬するという
大日本帝国憲法の基本原則は変更しない
2.議会の権限を拡大し、
その反射として天皇大権に関わる事項をある程度制限する
3.国務大臣は議会に対して責任を負うこと
4.人民の自由および権利の保護を拡大し、充分な救済の方法を講じる
● 同 12月、
極東委員会が設置された。
● 同 12月19日、
内閣情報局世論調査課は、
共同通信社に依頼して憲法改正に関する世論調査をした。
◎世論調査結果
回答 287人
内訳
改正必要 216人 75.2%
改正不要 38人 13.2%
無回答 33人 11.5%
注:国民の多くは明治憲法改正を望んでいました。
● 同 12月26日、民間の憲法研究会(鈴木安蔵、高野岩三郎)案が新聞発表された
● 同 12月27日、民間の憲法研究会案がGHQや日本政府に提出された
● 同 12月31日、GHQで民間の憲法研究会案が英訳され、検討作業に入った。