総コレステロ-ルは高い方が
身体には有利なことは前回書きました。
そこで最近ではコレステロ-ルを善玉と悪玉に分けて、
善玉は良いが、悪玉は悪いものとして
治療の対象にされています。
しかしその悪玉でさえも身体に良いものであるとした
論文が世界中で話題になっています。
英国の世界的な医学雑誌BMJ Open誌で
2016年6月に発表されたシステマティックレビュ-論文です。
その後5ケ月間に世界で最も読まれた論文になりました。
「BMJ Open誌」論文
BMJ 英国医師会雑誌 British Medical Journal
2010年8月に BMJ Open誌を発刊
NEJM LANCET JAMA・・・協力
[経緯]
60歳以上の高齢人口について、
総死亡あるいは心血管死亡の危険因子として
LDLコレステロ-ル値が検討されていたコホ-ト研究を、
PubMedを用いて検索した。
◎コホ-ト研究 分析疫学の手法
特定の要因に暴露した集団と
暴露していない集団に一定期間観察する研究
◎PubMed
アメリカ国立医学図書館の
国立生物工学情報センタ-が運営する
学術文献検索サイト
[結論]
60歳以上の人では、
LDL値は死亡率と逆相関している。
この知見は、コレステロ-ル仮説
(特にLDLが動脈のアテロ-ム硬化の本質的な
原因である)と矛盾している。
LDL値が高い高齢者は低い人よりも長生きであるため、
この分析結果はコレステロ-ル仮説の
妥当性に対する疑問を投げかけるものである。
さらに、この研究は、心疾患予防の
戦略の重要な要素とされている高齢者への
薬剤によるLDL低下を推奨する
治療ガイドラインを再検討する必要性の根拠となる。