その直後の経過です。
● 同 1月4日、
政府の憲法問題調査会で甲乙2つの案がまとまる
● 同 1月7日、
アメリカの国務、陸軍、海軍三省調整委員会が
政府に日本の憲法改正に関する指示書を出した。
しかし極東委員会の手前で命令と言う形にはならなかった。
● 同 1月9日、
第10回憲法問題調査会で松本国務相が政府案を提出
1月7日のアメリカの三省調整委員会の日本国憲法改正に関する指示書です
(a)最高司令官は、日本政府当局者に対し、
日本の統治体制が次のような
一般的な目的を達成するように改革さるべきことについて、
注意を喚起しなければならない。
1.選挙権を広い範囲で認め、選挙民に対し責任を負う政府を樹立すること
2.政府の行政府の権威は、選挙民に由来するものとし、
行政府は、選挙民または国民を完全に代表する
立法府に対し責任を負うものとすること
5.日本臣民および日本の統治権の及ぶ範囲内にある
すべての人に対し、基本的人権を保障すること
7.日本国民が、その自由意志を表明しうる方法で、
憲法改正または憲法を起草し、採択すること
(b)日本における最終的な政治形態は、
日本国民が自由に表明した意思によって決定さるべきものであるが、
天皇制を現在のままで維持することは、
前述の一般的な目的に合致しないと考えられる。
(d)日本人が、天皇制を廃止するか、あるいはより民主主義的な方向にそれを改革することを、
奨励支持しなければならない。
しかし、日本人が天皇制を維持すると決定したときは、
最高司令官は、日本政府当局に対し、
前記のほか以下の安全装置が必要であることについて注意を喚起しなければならない。
以下略
本文書は、公表されてはならない。
日本政府の改革に関する連合国の政策について声明を発表する場合には、
日本側自体における前記諸改革の完遂を妨げぬよう、
連合国最高司令官との連絡協議がなさらなければならない。
● 同 1月11日、
民間から提出された憲法研究会(鈴木安蔵、高野岩三郎)案を
検討したGHQ民生局のラウレル法務課長は
ラウレル文書として所見をまとめた。
◎ ラウレル文書
・・・・憲法研究会(民間案)の諸条項は民主主義的で賛成できる
・・・・ いちじるしく自由主義的である
そしてこの先、日本政府から提出される政府案もこれに沿ったものとGHQは期待しました。
しかしそうなりませんでした。
そしてこの民間案は後のGHQ草案に影響を与えるようになります。
●元・民生局次長 チャ-ルス・ケ-ディスの証言
1993年テレビ朝日系「日本国憲法を生んだ密室の9日間」から
民間の研究会草案を手本にしたことを認めた上で、
「憲法研究会が作成した草案や
ほかのところの憲法がわれわれの手元にあった。
あれだけでの条文ですよ、
ゼロから1週間や10日そこらで作ることは出来ませんから」と
インタビュ-に答えている。
● 同 1月24日、
幣原喜重郎首相がマッカ-サ-と対談し憲法について
「天皇の人間化と戦争放棄」を提案。
◎敗戦という日本の立場上、日本からの提案と言う形ではなく、
マッカ-サ-からの押し付けの形になるように依頼した。
その内容は次に書きます。