実際の発電コストを計算するのは非常に難しい事です。
計算のための元になるデ-タ-が変動するからです。
●要素として
発電所建設 用地買収
建設費用
メンテナンス(点検補修)費用
送電費用(海上・山奥・遠隔地・・・)
燃料 ウラン、石炭、石油、LPG等の採掘、精製、輸送・・・・
発電費用 安全対策も含む
廃棄物の処理 いわゆるゴミをどうするか
廃炉費用 耐用年数が終わった発電所の解体
事故の場合の対策処理費用
まだあるかもしれませんが、大体このような事を考慮してコストを計算する必要があります。
しかしこの要素はかなり変動します。
為替レ-ト 作業内容による人件費 需要供給バランス 再生可能エネルギ-買取の賦課金
変動するばかりではなく、経験のない事は計算に組み込めません。
従来の水力、火力・・・・等は長い経験があるので計算できますが、
原子力発電所の場合未経験な分野なため、計算できないのです。
「廃棄物の処理」「廃炉作業」はまだ方法さえ決まっていませんので費用の計算さえ出来ません。
ところが「廃棄物の処理」は出来ないにもかかわらず巨大なお金がつぎ込まれています。
既に10兆円投入し、今後も10兆以上を予定していますが、成功する見通しありません。
事故が起きました。事故処理も未経験ですから方法すらわからないのが現実です。
そうすると費用の計算が出来ないので国では分かる範囲で計算しています。
2015年現在の安倍政権では、原子力の電気をベ-スロ-ド電源として20%確保する政策を耐えています。
経済産業省は真面目に20%を必ず原子力にしなければならないと解釈しコスト計算を発表しました。
すると原子力発電が一番安くなりました。
費用のかかる不明の部分を計算に入れないから当然のことです。
●経済産業省 2014年9月10日 資料
種別 | 円/1kw・時間 |
原子力 | 8.9~ |
石炭火力 | 9.5 |
一般水力 | 10.6 |
地熱 | 9.2~11.6 |
陸上風力 | 9.9~17.3 |
バイオマス | 17.4~32.2 |
小規模水力 | 19.1~22.0 |
太陽光 | 30.1~45.8 |
住宅用太陽光 | 33.4~38.3 |
自然エネルギ-財団が試算した数値との比較グラフがあります。
上記の2014年とあまり変わりませんので比較します。
原子力だけの比較です。
太陽光は高いのですが、石油とほぼ同じ、他よりは高くなります。
立命館大学 大島堅一教授のコストに関する試算もあります。
大島教授なりに多くの要素を取り入れて計算したものです。
ただしこの試算にも今回の事故の補償や廃炉費用は含まれていませんので更に原発は高くなるでしょう。
●大島教授の試算 2011年4月30日 東京新聞
電気事業連合会(電事連)の資料との比較。
1キロワット発電時の費用です
| 原子力 | 原子力+揚水 | 水力 | 石油 | 天然ガス | 石炭 |
電事連 | 5.3円 | | 11.9円 | 10.7円 | 6.2円 | 5.7円 |
大島教授 | 10.68円 | 12.23円 | 3.98円 | 火力 9.9円 |
注:1.電気事業連合会の計算は原子力が一番安く、
大島教授の計算では水力が一番安くなっています。
為替レ-トでかなり変動しますので目安ですが、
事故後の補償や廃炉費用が入っていなくてこの結果であることは注目です。
2.国としての試算では、石油16円、天然ガス11円、石炭4円となっていますが、
国策が絡むので正確かどうか分かりません