日本老年医学会の資料では
プロトンポンプ阻害剤がスタ-ト薬になっています。
ピロリ菌除去のためには抗生物質を使用しますが、
効果を上げる目的で
胃酸の分泌を押さえる必要があります。
そのための薬です。
通称ピロリ菌はヘリコバクタ-ピロリといわれます。
ヘリコプタ-のように動くバクテリアです。
私たちの身体を守るため胃酸は
強烈な酸性になっていて
細菌の侵入を防いでいます。
そのため通常は殺菌され細菌は
胃から先へは侵入できません。
しかしピロリ菌は自らアルカリ成分を出して
自分を覆ってしまうので
胃酸の中でも生きられるのです。
胃酸(胃液)の分泌には色々は仕組みが働いていますが、
最終的にプロトンポンプという仕組みが働きます。
そのポンプを一時的に止めるのが
プロトンポンプ阻害剤です。
略して「PPI」といわれ一
般的には「タケプロン」が有名です。
口から食事等で入った雑菌は胃酸で殺菌されます。
胃酸を止めるということは菌が胃を通過して
体内に侵入することを意味しますので
感染の危険を伴います。
そのため高齢者では1年未満の使用とされています。
薬の添付資料には4~8週間までの
使用となっているので1年では
少し長すぎるかもしれません。
またPPIの仕組みは何も胃壁にだけあるのではなく
全身の細胞に類似した仕組みがあります。
そのための副作用も心配になります。
そしてピロリ菌退治に使用する抗生物質ですが、
2種類、場合によっては4種類使用します。
問題は抗生物質で死ぬのは
ピロリ菌だけなのかという点です。
抗生物質は全身に作用し体中の菌が死にます。
そのため身体を守る良い常在菌まで
殺菌してしますのです。
その時に死なない菌が耐性菌として
残ったらどうなるでしょうか?
抗生物質耐性菌が繁殖し治療困難になります。
ピロリ菌退治で胃がんや十二指がんが
少し減っても、全体の死亡率が
逆に上昇するという研究もあるので、
健康な保菌者は無理に退治しないほうが
良いかもしれません。