国民基金に対する対応は国によっても異なりますが、
韓国と台湾の場合は日本の植民地であった経緯もあり
「被害者への生活支援やケアは自分たちでするから,
日本は真摯の反省のもと、
日本政府にしか出来ない公式謝罪と
国家としての保障を行うべきである」という考えが強いようです。
国民基金が残した問題点を少し整理します。
*国家による正式謝罪ではないこと
*被害者が求めた形ではなく、日本政府が勝手に決めたこと
*強引な支給で被害者が分裂したこと
*日本社会の本質的な意識改革につながらなかった
*国際社会特に国連からは認められなかった
*支給地域を限定したこと
河野談話を出す際の調査で、「内閣官房内閣外政審議室」は
慰安婦の出身地を日本、朝鮮半島、中国、台湾、フィリピン、
インドネシア及びオランダの7ケ国としました。
そのためビルマ、マレ-シア、ミクロネシア、
東チモ-ル等から元慰安婦だった女性が名乗り出ても
すべて無視されました。
●北朝鮮は1992年5月に
「北朝鮮政府の被害調査委員会」が調査を開始し、
2000年現在被害者数218名、証言者48名とされていますが、
国交がない為無視されています。
国民基金の組織や運営にも多くの問題が指摘されています。
*対象になっていない国も含めて
慰安婦がどのくらい存在したのかの調査がされていない
*国・地域別の名乗り出た元慰安婦と受取者の
数が正式に公開されていない
*民間からの募金で5億6500万円が集まったとされているが、
明細が発表されていない。
連合をはじめとした労働組合のカンパが中心とうわさされている。
*募金総額が当初の目標より多かったのか、
少なかったのかも発表されていない
*集まった募金の内、どのくらい経費がかかったのか、
どのくらい「償い金」になったのかが発表されていない。
*オランダだけは募金のお金ではなく、
外務省資金(国費)で支払われているのは何故か?
国費で支払えるのならば、最初から全部国費にするべきだった。
このような状態で国民基金は成功した、或は日本の謝罪は終了したといえるのでしょうか?
しかし国家間の現実問題として、
河野談話やアジア女性基金がたとえ不十分なものであっても、
韓国を始めとしたアジア諸国では
現在の日本の立場としては最大限の謝罪だと好意的に解釈したのも事実でしょう。
ですから追求よりもこのあたりで鉾先を収めて
国家間の良好な関係を発展されることに重点を置き、
双方の国家が前向きに努力する方針としました。
日本はその後表面上は謙虚にし、
経済や文化交流が進み日韓関係は良好でした。
しかし一部のマスコミ、ジャ-ナリスト、文化人、政治家は
慰安婦問題を否定し続け、
最近特に政治家や政府で目立っています。
●2015年1月5日、アメリカ国務省のサキ報道官は
記者会見で次のような内容の話をしました。
*村山富市首相と河野洋平官房長官が示した謝罪は、
日本が近隣諸国との関係を改善しようと努力する中で重要な一章を刻んだ。
*日本には近隣諸国と引き続き協力し、
対話を通じた友好的な方法で歴史をめぐる懸念を解消するよう促す
これは河野談話を否定する最近の日本政府やマスコミの傾向に
アメリカが釘をさしたものと思われます。