脂肪分のことを脂質といいます。
脂質は血液(血漿)に溶け込んでいたり、
身体の構成部分として存在します。
単純に分けると、中性脂肪(トリグリセド)、
コレステロ-ル、リン脂質、遊離脂肪酸に分かれます。
血液の中ではこれらの脂質が
蛋白質や糖などとくっついて
複合脂質(リポ蛋白)の形で存在します。
複合脂質、通称コレステロールについては
次項目に書きますので、先ずは中性脂肪です。
WHOや欧米でも日本と同じ
中性脂肪150mg/dl以上を検診時に問題としています。
中性脂肪が身体に良くなくて多いと
死亡率が増えるとの意見が圧倒的ですが
その根拠はあるのでしょうか?
確かに相当数値が高くなる
「家族性高脂血症」と言うのがあって、
中性脂肪やコレステロ-ルが
多くなり過ぎるのは危険です。
その家族性高脂血症は
日本では500人に1人と言われます。
この遺伝子は生活習慣に関わりなく
総コレステロ-ル350以上、
中性脂肪が900以上にもなります。
一般に中性脂肪は500以上がリスクとなります。
男性では50歳までに約5割が
心筋梗塞を発症すると言われます。
その人たちが問題なのは当然ですが、
検診をするのは一般の人です
● 中性脂肪レベルと死亡率のグラフ
大櫛陽一「メタボの罠」から
注:60歳代以下では、
一番死亡率な少ないのは
男性で150~299の範囲、女性では150~199です。
しかしどのレベルでも死亡率にはあまり
影響がないように思われます
70~80歳では男性は途中から下がり、
女性が上昇しています。
高齢者では他の要因も加わりますから
一概には断定できません。
男性は199以上の方が死亡が下がり、女性のは増えていますが、
低すぎる(60以下)よりは高めのほうが
安全なことが分かります。
この図を見る限り、メタボ健診で
保健指導(治療目標値)150、
受診勧奨300の必要は無いと思われます。
それよりも「家族性高脂血症」を発見して
治療した方が良いと思われます。
中性脂肪は食事や運動の影響を受けますので、
同じ人でも測定のたびに大きく変動します。
ですから「家族性高脂血症」以外の人は少し位高くても
食事に気をつけたり運動をすれば下がるはずです。
薬を飲む必要はなさそうです。