東京裁判でインド代表のダラビノッド・パル判事が
判決に反対した事から、南京事件を否定する人は
裁判が不当だったと主張しています。
パル判事は法に厳正で、
どんな圧力を受けても自分の信念を曲げない
立派な法律家です。
実はパル判事は南京の事件を全面的に認めています。
その上でその全ての刑事責任を
松井一人に負わせることに反対したのです。
●パル判事の発言 東京裁判資料
洞富雄編「南京大虐殺事件資料集」から
本件において提出された証拠に対し
言い得るすべてのことを念頭に置いて、
宣伝と誇張をでき得る限り斟酌しても、
なお残虐行為は日本軍そのものが占領した
或る地域の一般民衆、はたまた戦時俘虜に対し
犯したるものであるという証拠は圧倒的である。
問題は被告(松井石根)に、かかる行為に関し、
どの程度まで刑事責任を負わせるかにある
●同上
本官がすでに考察したように、
証拠に対して悪く言うことのできる
事柄をすべて考慮に入れても、
南京における日本兵の行動は凶暴であり、
かつベイツ博士が証言したように、
残虐はほとんど3週間にわたって惨烈なものであり、
合計6週間にわたって、
続いて深刻であったことは疑いない。
事態に顕著な改善が見えたのは、
ようやく2月6日あるいは7日過ぎてからである。
弁護団は、南京において残虐行為が行なわれたとの
事実を否定しなかった。
(注:弁護団とは日本側の弁護団のことです)
彼らは単に誇張されていることを訴えているのであり、
かつ退却中の中国兵が、
相当数残虐を犯したことを暗示したのである。
そしてその上で松井無罪を主張した理由をこう述べています
●同上
本官は松井大将としては本件に関連し、
法的責任を故意かつ不法に
無視したとみなすことは出きない。・・・・
彼としては当然、両軍の司令官ならびに
軍紀風紀を維持し処罰を加える
任務を帯びている他の高級将校に
依存しうるのであった・・・・
本官の判断では、市民に関して南京で発生したことに対し、
同人を刑事上責任ある者とするような
不作為が同人にあったことを証拠は示していない