名古屋市立大学の2つの論文を掲載します。
内容は「福島事故後の複雑心奇形手術の増加」と「停留精巣の増加」の研究です。
●福島原発事故後の複雑心奇形の全国的増加
2019年3月13日、アメリカ心臓学会の科学誌「Jornal of the American Heart Association」に掲載
名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科村瀬研究室と
同大学院医学研究科心臓血管外科教室との共同研究
日本胸部外科学会の全国の手術デ-タ-の解析
46種類の先天性心疾患手術のうち複雑心奇形の解析
福島原発事故後、乳児(1歳未満)の複雑心奇形の手術件数が14.2%増加
◎複雑心奇形の手術件数(乳児、10万出生当り)
●複雑心奇形(29種類)手術数の増加率
2007年~2010年と2011年~2014年の比較
複雑心奇形の名称 | 増加率 |
完全型房室中隔欠損+その他合併 | 47.7% |
完全大血管転位Ⅲ型 | 25.0% |
大動脈縮窄複合+単心室 | 34.2% |
肺動脈閉鎖+心室中隔欠損 | 33.0% |
総動脈幹 | 31.4% |
Fallot四徴症 | 27.2% |
左心低形成症候群 | 20.9% |
単心室 | 18.5% |
完全型房室中隔欠損 | 17.9% |
●福島原発事故後の停留精巣の全国増加
2018年5月8日、国際科学誌「Urology」に掲載
名古屋市立大学大学院システム自然科学研究科村瀬研究室と
同大学院医学研究科小児泌尿器科学、腎・泌尿器科学分野との共同研究
2010年度から2015年度の6年間、35件94病院のデ-タ-を集計
停留精巣の手術退院は全年齢で13.5%増加、3歳未満の集計では16.9%増加
●停留精巣手術退院の件数
☆2015年度から遡って連続して10件以上のデータが存在する病院の手術退院件数を合計した。
☆(a) 2008~2015年度 数字は集計した病院数
(b) 2009~2015年度 数字は集計した病院数
(c) 2010~2015年度 数字は集計した病院数
(d) 2011~2015年度 数字は集計した病院数
(e) 2012~2015年度 数字は集計した病院数
(f) 2013~2015年度 数字は集計した病院数
(g) 2014~2015年度 数字は集計した病院数
☆2011年度と2012年度の間で手術退院件数の増加が認められる。
●1000万人あたりの停留精巣手術他院の推移(35県94病院)
●停留精巣手術退院の全国増加率
体内で受精した後、各器官を作るために血液は必要なので、かなり早い時期から心臓は動き始めます。
完全ではないまでも5週目、35日くらいから動き始めるといわれています。
ですから受精直後から心臓が作られる初期に放射線を浴びることは非常に危険なことです。
同じように精巣や卵巣も心臓が動き始めてから間もなく作り始めます。
受精してから約10ケ月前後で誕生しますから、それから奇形等が発見されます。
心臓や精巣は早く分かりますが、卵巣その他は発見が遅れる可能性があります。
まだ完成されていない胎児ですから微量な放射線でも大変な影響を及ぼします。