健康食品に関する国の見解 2
3. 「健康食品」を摂る人と、摂る目的についてのメッセ-ジ(J~O)
J. 「健康食品」は、多くの場合が
「健康な成人」を対象にしています。
高齢者、子ども、妊婦、病気の人が
「健康食品」を摂ることには注意が必要です。
「健康食品」は、多くの場合が治療の
必要がない疾病予備軍を含めた
「健康な成人」を対象としたものがほとんどです。
摂る「目安量」が書いてある場合も、
多くは健康な成人を対象にしています。
高齢者、子ども、妊婦(胎児)、
病気の人などは代謝機能が低下していたり
十分でなかったりするので、
同じ量でも影響を受けやすい状態です。
このような方々は、安易に「健康食品」を
摂らないようにしてください。
特定保健用食品では健康な人で
安全性試験を行っていますが、
高齢者、子ども、妊婦、
病気の人での安全性は調べていません。
K. 病気の人が摂るとかえって病状を
悪化させる「健康食品」があります。
健康な人には問題がないものであっても
病気の人が摂ると良くない「健康食品」もあります。
自己判断で摂ってはいけません。
特に肝臓や腎臓は物質の代謝に
重要な役割を担っていますので、
これらに疾病のある方は、注意が必要です。
病気治療中の方が「健康食品」を摂る場合は、
必ず医師・薬剤師に相談してください。
L. 治療のため医薬品を服用して場合は
「健康食品」を併せて摂ることに
医師・薬剤師のアドバイスを受けてください。
病気で医薬品を処方されている場合、
「健康食品」を併用すると
相互作用で薬の効果が弱くなったり、
逆に強く出すぎて有害作用がでたりする
事例があります。
複数の医薬品を服用している場合には、
「健康食品」との相互作用が
現れる可能性が増加します。
「健康食品」と医薬品を同時に取っていると、
有害な作用がでたときに
その原因を特定することが難しくなります。
自己判断で摂らず、
必ず医師・薬剤師に相談してください。
M. 「健康食品」は薬の代わりにはならないので
医薬品の服用を止めてはいけません。
「健康食品」は医薬品ではありません。
医薬品に似た作用があるとされる
「健康食品」をその医薬品を止めて
代わりに摂っても医薬品のような
効果は期待できません。
医薬品の服用を中止すると
病気の進行(悪化)につながる
恐れがあります。
安全性や有効性が評価されている
特定保健用食品でも、病気でない方の
健康増進を目的としており、
病気を治療するものではありません。
病気の人が「健康食品」を摂っていることを
医療関係者に伝えずにいると、
適正な治療が出来なくなることもあります。
病気治療中の方は、
原則的に健康食品を摂らないように、
どうしても摂る場合は
医師・薬剤師に相談してください。
N. ダイエットや筋力増強効果を期待させる
食品には、特に注意してください。
体重を減らす効果をうたう食品
(いわゆるダイエット用食品)は、人での安全性が
実証されているものはほとんどありません。
「運動や食事制限なしに痩せられる」と
いった類のうたい文句には注意が必要で、
多くは効果もないと思われます。
食べて痩せる食品は栄養状態を
低下させる有害物といえます。
仮に何らかの効果がある場合、
その作用の仕組みを考えれば、
安全性におけるリスクが高いと考えられます。
なかには医薬品成分やそれに類似した成分、
規制対象となる成分が
含まれているものもあり、
重篤な肝障害に至った例や
死亡した例もあります。
また、筋肉増強効果をうたった食品でも
死亡事故が起きています。
医薬品成分が添加された製品は
「無承認無許可医薬品」であり、
行政による取り締まりの対象になりますが、
ネット上の販売が多く、
一見「健康食品」のように
販売されていることがあります。
これらの食品を摂ることには注意が必要ですし、
ましてや多量に摂ったり、
体調が悪くなっても我慢して
無理に続けたりしてはいけません。
O. 「健康寿命の延伸(元気で長生き)」の効果を
実証されている食品はありません。
「康寿命が延伸できる」ことを科学的に
実証することは難しく、食品のみならず
医薬品を含めても、そのような効果を
示している研究はほとんどありません。
また、効果があると期待されているものも
その後長期間の観察では
効果がないことが確認されたり、
逆に別の良くない影響がわかったりすることが
しばしばあります。
4. 「健康食品」の情報についてのメッセ-ジ(P)
P. 知っていると思っている健康情報は、
本当に(科学的に)正しいものですか。
情報が確かなものであるかを見極めて、
摂るかどうかを判断してください。
体験談は、安全性・有効性を示す
根拠にはなりません。
効いたと言う事例がたくさんあげられていても
「安全・有効であることがわかった」とは言えません。
また、特定の研究者だけが
主張している場合には、
必ずしも安全性・有効性の証拠にはなりません。
さらに、動物と人とでは、
「健康食品」の成分の消化吸収や
代謝・体のつくりかたなどが違い、
反応のしかたが異なるため、
動物実験で有効であったとの結果を
そのまま人にあてはめることはできません。
安全で適切な「健康食品」を選択するためには、
人での適切な試験が行われているか、
複数の研究による客観的な評価が
なされているかなどを確認することが必要です。
たとえ、多くの人に効果があると
言われている「健康食品」でも、
誰がどのような目的で、どれだけの量を
どれだけの期間に摂るかによって、
製品の安全性や有効性は変わります。
「健康食品」は消費者が自ら判断して
摂るか否かを決めるものです。
そのため、安全性を確保するためには、
摂取してはいけない場合(肝機能や腎機能が
低下しているなどの病歴・健康状態、
その成分に対するアレルギ-を有するなど)や、
過剰摂取したときに想定される健康被害(症状)、
医薬品との相互作用などについて、
消費者自身があらかじめ情報を
入手して知っておくことが重要です。
そして情報は、信頼できる情報源から
得ることが大切です。
例えば、食品安全委員会や厚生労働省では、
「健康食品」の健康被害に関する情報を
インタ-ネットで提供しています。
また、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の
「健康食品」の安全性・有効性情報」では、
「健康食品」が関連した健康被害の防止のため、
「健康食品」の基礎的な知識や安全情報を掲載しています。
5. 「健康食品」の摂取についてのメッセ-ジ(Q~S)
Q. 「健康食品」を摂るかのどうかの選択は
「わからない中での選択」です。
以上のように、「健康食品」は安全性、
品質、有効性などいずれの点でも
わかっていないまま 販売されているものが
少なくありません。
「健康食品」を摂るかどうかを決めることは、
そういったわからないことが多い中での
選択と言えます。
効果ついての情報だけではなく、
健康被害についての情報も得て、
自分の状況をよく考えた上で
選択することが大切です。
R. 摂る際には、
何を、いつ、どのくらい摂ったかと、
効果や体調の変化を記録してください。
「健康食品」を摂っているときには
自分の体調によく気をつけてください。
健康食品を安全に摂る上で、
どの製品をどれだけの量、
どのような方法で摂り、
その時の体調はどうであったかという
メモを作成することが有用です。(表参照:省略)
「体調が良い」という記載が並べば
自分に合った製品であると判断できます。
「体調が変わらない」という記載が並べば、
継続して摂るか否かを
再度検討するきっかけになります。
「健康食品」が原因と疑われる
健康被害が起こっても、
摂取した製品や摂取状況などの
具体的な内容がわからない場合が多く、
医薬品などよりも被害の状況が
明らかになるのが遅れる傾向があります。
摂取内容や体調などをメモしておくと、
摂るのを中止する判断や医療機関などで
因果関係を推定してもらうのに役に立ちます。
以下略
S. 「健康食品」を摂っていて体調が悪くなったときには、
まずは摂るのを中止し、
因果関係を考えてください。
自分の体調変化に注意し、
体調が悪くなった時には、
摂るのを中止してください。
「健康食品」の健康被害は、いくつかの問題が
重なって起きることがあるため、
これまで体調が悪くならずに
食べ続けていた「健康食品」でも
体調が変化する要因となることがあります。
体調悪化の原因が「健康食品」
そのものによるかどうかは、
「健康食品」を摂り始めた後から起ったか、
摂るのをやめると和らいだか、
などを考えるとある程度判断ができます。
「健康食品」で健康を害していないかを
セルフチェックしてください。
このように考えても判断できない場合などは
「健康食品」に対する知識を有する専門家
(医師・薬剤師・管理栄養士・アドバイザリ-スタッフ等)に
相談してください。
Ⅳ 「健康食品」についての安全な選択をするために(まとめ)
● 健康の保持・増進の基本は、健全な食生活、
適度な運動、休養・睡眠です。
● 「健康食品」を摂る選択をする前に、
今の自分にとって本当に必要か考えてください。
その際に、信頼できる(科学的根拠のある)
情報を入手するよう努めることが、
自分の信頼を守るために大切です。
● 「健康食品」を購入/摂る場合は、
このメッセェ-ジ述べられている点に
注意して、選択することが必要です。
● 増量することは健康被害をもたらす
リスクを高めます。
たとえ効果が実感できなくても、
増量してはいけません。
● 「健康食品」を摂っていて
体調が悪くなった場合は、
すぐに摂るのをやめてください。