悪玉コレステロ-ルについて
2017年9月に書きました。
このシリ-ズで何度も書いていますが、
コレステロ-ルは身体にとって必要なものです。
そして総コレステロ-ルは高めの方が
有利であることも理解されるようになりました。
以前にも書きましたが、
2015年には米国や日本でコレステロ-ルを
含む食品の摂取制限を撤廃しました。
つまりコレステロ-ルは充分摂りなさいということです。
むしろ厚生労働省では
高齢者の場合低栄養が心配であると何度も指摘しています。
検診等で言われるコレステロ-ルは
単体ではなく複合体です。
「コレステロ-ル」「蛋白質」「燐」「質類」が
合わさった物を通称コレステロ-ルと言います。
コレステロ-ルが低くなるということは、
これら4種類が低くなるということです。
この4種類は細胞表面、血管、神経、骨を構成する材料です。
ですから認知症、骨折、感染等を考慮すると、
高齢者の場合はむしろ高めが安心ということになるのです。
しかし最近ではコレステロ-ルを
善玉(HDL)と悪玉(LDL)に分けて、
悪玉を減らそうという風潮が出ています。
今回はその中の悪玉コレステロ-ルの話です。
2016年に権威ある英国医師会雑誌
「BMJ OPEN」に画期的論文が発表されました。
論文はその後5ケ月間世界で最も読まれた論文になりました。
悪玉コレステロ-ルの高い人と
正常な人の比較したコホ-ト研究です。
まずその論文の結論を書きます。
◎60歳以上の人では、
LDL(悪玉)値は死亡率と逆相関している。
この知見は、コレステロ-ル仮説
(特にLDLが動脈のアテロ-ム硬化の本質的な原因である)と
矛盾している。
LDL値が高い高齢者は低い人よりも長生きであるため、
この分析結果はコレステロ-ル仮説の
妥当性に対する疑問を投げかけるものである。
さらに、この研究は、
心疾患予防の戦略の重要な要素とされている
高齢者への薬剤によるLDL低下を推奨する
治療ガイドラインを再検討する必要性の根拠となる。
文章が少し分かりづらいのでやすく書き直します。
◎60歳以上では悪玉コレステロ-ルが
高い人の方が人より長生きである。
◎従来、悪玉コレステロ-ルが
動脈硬化の原因とされてきたが矛盾する
◎コレステロ-ルに関する
治療ガイドラインを見直す必要があるかもしれない
もしこの論文が正しければ大変なことです。
世界の常識が覆されるのです。
コレステロ-ルは肝臓で自動的に悪玉の形で合成され、
全身を回って善玉の形で帰ってきます。
現在世界中でこの研究の追試や反論が試みられていますが、
最初に書いたようにコレステロ-ルが
身体にとって必要な物質であることを考えると、
無理に下げる(減らす)と身体にとって不利かもしれませんね。
以上