自律神経の働きと薬の作用
● 私たちの身体の状態は
自律神経の働きで維持されています。
手や足などは自分の意思で動かすことが出来ますが、
自分の意思では動かせないところは
自律神経で自動調整しています。
自律神経では交感神経と副交感神経が逆の作用をして、
昂奮と抑制を微妙に調整し、
たえず身体を正常に保っています。
以下は、自律神経が働いている部分の概略です。
☆心臓 心拍数、心房や心室の収縮・拡張、血圧
☆血管 動脈の収縮・拡張(冠状動脈・脳動脈)、
体循環の静脈
☆胃腸 各筋肉の収縮・弛緩・蠕動・液分泌
☆膀胱 排尿筋や括約筋の収縮・弛緩
☆胆嚢・胆管 収縮・弛緩
☆気管・気管支 収縮・弛緩・分泌
☆眼 瞳孔、毛様体、
☆肝臓・グリコ-ゲンの分解と合成、
☆膵臓 インスリン分泌 抑制と促進 等々です。
● 健康診断などの検査で基準を超えた時や、
病気の時は自律神経の働きに関することが多いので、
必然的に自律神経に作用する薬が使われます。
自律神経は脳から途中まで電気信号として伝わり、
神経同士の接合部(シナプス)では
神経伝達物質が信号を伝えています。
これは化学物質です。
薬としてはこの「神経伝達物質」を作動させたり、
止めたりする薬を投与することになります。
● 身体の多くは自律神経の影響下にあるので、
薬は同時に同じ影響下にある他の場所にも
作用する可能性があります。
これが副作用です。
自然の自律神経の働きに頼らずに
直接「神経伝達物質」を作用させることで、
自律神経を働かせようとするのですから、
目的以外の作用も起きることは当然かもしれません。
せっかく自律神経の働きで自分なりの
正常値を保っているのに薬で変更しようとすると、
身体はあわてて本来の自分に戻ろうとして
薬に抵抗します。
すると薬の効果が出なくなるため、
薬の量や種類を増やします。
その結果の副作用も考えられます。
● 薬は治療には必要です。
多少副作用があっても
使わなければならないこともあります。
単に否定するのではなく、
副作用をよく理解して使う
必要があると言うことです。
それと少しでも基準値の巾を
広くすれば薬の投与が減ることも重要です。
例えば
血圧 130 mmHg→150 mmHg
血糖値 HbA1c 6.1%→7.0%
総コレステロ-ル 225 mg/dl→245 mg/dl
尿酸値 6.0 mg/dl→8.5 mg/dl
特に高齢者の場合基準値をこれだけ
見直すだけで薬の使用量は相当減り、
副作用も減ると思われます。