国連からの勧告

国連特別報告者アナンド・グロ-バ-氏の日本調査報告書が発表されました。

2013年5月23日の暫定版の内容です。

要約です。

「報告書」

49 健康への悪影響の可能性は低被ばく線量では存在しており、年間被ばく線量が1ミリシ-ベルト以下

   及び可能な限り低くなったときのみ、避難者は帰還を推奨されるべきである。

   その間にも、政府は、全ての避難者が帰還するか又は避難し続けるか自発的に決定できるようにするために、

   全ての避難者に対して金銭的な援助及び給付金を提供し続けるべきである。

76 特別報告者は、日本政府に対し、原発事故の初期対応の策定と実施について

   以下の勧告を実施するよう求める。

(a) 原発事故の初期対応を確立し不断に見直すこと。

   対応に関する指揮命令系統を明確化し、

   避難域と避難場所を特定し、脆弱な立場にある人を助けるガイドラインを策定すること。

(b) 原発事故の影響を受ける危険性のある地域の住民と、

   事故対応や取るべき措置を含む災害対応について協議すること。

(c) 原子力災害後可及的速やかに、関連する情報を公開すること。

(d) 原発事故前、または事故後速やかに、ヨウ素剤を配布すること。

(e) 影響を受ける地域に関する情報を集め、広めるために、

   Speediのような技術を早期にかつ効果的に提供すること

77 原発事故の影響を受けた人々に対する健康被害について、

   特別報告者は日本政府に対し以下の勧告を実施するよう求める。

(a) 全般的・包括的な検査方法を長期間実施すると共に、

   必要な場合は適切な処置・治療を行うことを通じて、

   放射能の県境影響を継続的にモニタリングすること。

(b) 1ミリシ-ベルト以上に居住する人々に対し、健康管理調査を実施すること。

(c) 全ての健康管理調査を多くの人が受け、調査の回答率を高めるようにすること。

(d) 基本調査には、個人の健康状態に関する状態と、

   被ばくの健康影響を悪化させる要素を含めて調査がされるようにすること。

(e) 子どもの健康調査は甲状腺検査に限らず実施し、

   血液・尿検査を含むすべての健康影響に関する調査に拡大すること。

(f) 甲状腺検査のフォロ-アップと二次検査を、親や子が希望するすべてのケ-スで実施すること。

(g) 個人情報を保護しつつも、検査結果に関わる情報への子どもと親のアクセスを容易なものにすること。

(h) ホールボディカウンタ-による内部被ばく検査対象を限定することなく、

   住民、避難者、福島県外の住民等影響を受けるすべての人口に対して実施すること。

(i) 避難している住民、特に高齢者、子ども、女性に対して、

   心理的ケアを受けることのできる施設、避難先でのサ-ビスや必需品の提供を確保すること。

(j) 原発労働者に対し、健康影響調査を実施し、必要な治療を行うこと。

78 特別報告者は、日本政府に対し、放射線量に関連する政策・情報提供に関し、

   以下の勧告を実施するよう求める。

(a) 避難地域・公衆被ばく限度に関する国としての計画を、

   科学的な証拠に基づき、リスク対経済効果の立場ではなく

   人権に基礎をおいて策定し、公衆の被ばくを年間1ミリシ-ベルト以下に低減するようにすること。

(b) 放射線の危険性と、子どもは被ばくに対して特に脆弱な立場にある事実について、

   学校教材等で正確な情報を提供すること。

(c) 放射線量のレベルについて、独立した有効性の高いデ-タを取り入れ、

   そのなかには住民による独自の測定結果も取り入れること

79 除染について特別報告者は、日本政府に対し、以下の勧告を採用するよう求める。

(a) 年間1ミリシ-ベルト以下の放射線レベルに下げるよう、

   時間目標を明確に定めた計画を早急に策定すること。

(b) 汚染土等の貯蔵所については、明確にマ-キングすること。

(c) 安全で適切な中間・最終処分施設の設置を住民参加の議論により決めること。

80 特別報告者は規制の枠組みのなかでの透明性と説明責任の確保について、

   日本政府に対し、以下の勧告を実施するよう求める。

(a) 原子力規制行政および原発の運営において、

   国際的に合意された基準やガイドラインを遵守するよう求めること。

(b) 原子力規制庁の委員と原子力産業の関連関する情報を公開すること。

(c) 原子力規制庁が集めた、国内および国際的な安全基準・ガイドラインに基づく

   規制と原発運営側による遵守に関する、 情報について、

   独立したモニタリングが出来るように公開すること。

(d) 原発災害による損害について、東京電力等が責任をとることを確保し、

   かつその賠償・復興に関わる法的責任のつけを納税者が支払うことがないようにすること。

81 補償や救済措置について、特別報告者は政府に対し以下の勧告を実施するよう求める。

(a) 「子ども被災者支援法」の基本計画を、影響を受けた住民の参加を確保して策定すること。

(b) 復興と人々の生活再建のためのコストを支援のパッケ-ジに含めること。

(c) 原発事故と被ばくの影響により生じた可能性のある健康影響について、

   無料の健康診断と治療を実施すること。

(d) さらなる遅滞なく、東京電力に対する損害賠償請求が解決するようにすること。

82 特別報告者は、原発の稼働、避難地域の指定、放射線量限界、健康調査、補償を含む

   原子力エネルギ-政策と原子力規制の枠組みら関するすべての側面の意思決定プロセスに、

   住民参加、特に脆弱な立場のグル-プが参加するよう、日本政府に求める

                      以上