目的は永遠のエネルギ-
ウランにも色々な種類(同位体)があります。
中性子を吸収して核分裂を起こすのはウラン-235です。
自然界にあるウランの内,0.7%しかウラン-235はありません。
前の「核燃料」のところにも書きましたが、
それを「採掘」「製錬」「濃縮」の過程を経て3~4%位に濃縮します。
残りは核分裂しないウラン-238です。
燃料を分裂させてエネルギ-を生み発電すると
ウラン-235が少なくなり効率が悪くなり新しい燃料と入れ替えます。
入れ替えたあと使用済み燃料をどうするか?
これをもう一度利用しようと考えられたのは
核燃料サイクルとか核燃料リサイクルといわれる仕組みです。
●まず新しい燃料と使用済み燃料には何がどの位含まれるのでしょうか?
1トンの燃料として計算します。
新しい燃料 ウラン-235 41kg これが核分裂する
ウラン-238 959kg 核分裂しないで変化する
使用済み燃料 ウラン-235 8kg
ウラン-238 931kg
プルトニウム類 10kg プルトニウム-239、240、241、242
超ウラン元素 0.9kg 元素一覧表でウランより後の元素
核分裂生成物(死の灰) 50kg
注:原子力資料情報室「原子力市民年間2010」から
ウラン-235と238が減って、その分プルトニウムや死の灰が増えている事が分かります。
基本的にプルトニウムは自然界に存在しない元素ですが、原発を運転すると必ず出来ます。
普通のプルトニウムは核分裂しませんが、
プルトニウム-239はウラン-235と同じように中性子が当れば核分裂しますし、
困ったことに一定量が集まると自動的に分裂を始めます。
そのために核兵器の原料になるのです。国際条約で厳しく管理される理由です。
核兵器に利用しない場合は通常はそのまま地中に埋めて永久に管理しなければなりません。
そして考えられたのは使用済み燃料からプルトニウムを取り出して再度燃料として利用し、
発電しようと考えられたのがサイクルです。
「もんじゅ」等の高速増殖炉やウランとプルトニウムを混ぜて使うMOX方法です。
そのためには使用済み燃料からプルトニウムを取り出す必要があります。
それを再処理と言い、その工場を再処理工場と言います。
そのプルトニウムのサイクルの図です。
実線の「軽水炉燃料サイクル」が現在行なわれている原発です。
使用済み燃料を再処理、燃料加工と進む破線(点線)部分ほとんど開発段階です。
特にプルトニウムサイクル、つまり「もんじゅ」ですが上手く行かない見込みです。
プルトニウムサイクルの燃料加工から左下に伸びる破線「ウラン・プルトニウム混合燃料」は
MOXとかプルサ-マルとして何基かの原発には混ぜて使用されています。
先ほど新規の燃料と使用済み燃料の内容がどう変化するかを書きましたが、図で示します。
一般の加圧水型軽水炉と軽水炉に混合燃料(MOX)を混ぜて使用した場合の比較です。
(解説)
*通常の原発では使用済み燃料に「核分裂生成物(死の灰)」とプルトニウムが増えます。
*MOXも「核分裂生成物(死の灰)」が増えます。
*通常の原発の「核分裂生成物(死の灰)」を直接地中処分出きれば
それだけで済むのですが、
再利用、 つまりプルサ-マル(MOX)や高速増殖炉を使うことで
「核分裂生成物(死の灰)」がさらに増えるのです。
現在でも六ヶ所村が機能しませんし、処分場もないのですから、
さらに廃棄物が増える事は核燃料サイクルが既に破綻しているという事です。
現在各電力会社はかなりのプルトニウムを保有しています。
日本では実験炉以外で使用済み燃料から、
プルトニウムを取り出し再び燃料を作る再処理や加工がまだ出来ません。
外国に頼っているのが現状です。
なるべく早く日本国内でも処理をしないといけないということで、
六ヶ所村を完成させたいところです。
しかし六ヶ所村では巨大な資金をつぎ込んでも成功どころか見通しすら付いていないのが現状です。
使用済み燃料を処理し、そこからプルトニウムを精製しプルトニウム燃料を作ります。
出来た新燃料と分けた核廃棄物は依頼先の英国やフランスから日本に送り返されています。
2013年にはフランスからプルトニウムが何十トンも日本に返却されました。
その以来費用も莫大ですが、英国では処理施設の周辺にガンが増えていることや、
日本のために処理をすることの国内世論の批判から縮小していくようになるでしょう。
またプルトニウムの輸送中の安全上の問題も懸念されています。