発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針
「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針」
原子力安全委員会 平成2年8月30日
注: 昭和52年6月14日に策定したものを変更
[Roman2]本指針の位置付けと適用範囲
本指針は、今日までお軽水炉に関する経験と最新の技術的知見に基づき、
軽水炉の設計許可申請に係る安全審査に当たって
確認すべき安全設計の基本方針について定めたものであって、
原子炉施設の一般的な設計基準を指向したものではない。
安全審査においては、当該原子炉施設の安全設計が、
少なくとも本指針の定める要求を十分に満足していることを確認する必要がある。
ただし、安全設計の一部が本指針に適合しない場合であっても、
それが技術的な改良、進歩等を反映したものであって、
本指針を満足した場合と同様又はそれを上回る安全性が確保し得ると判断される場合は、
これを排除するものではない。
[Roman4]
指針 25 非常用炉心冷却系
1.非常用炉心冷却系は、想定される配管破断等による原子炉冷却材喪失に対して、
燃料の重大な損傷を防止でき、かつ、
燃料被覆の金属と水の反応を十分小さな料に制限できる設計であること。
注:黄色線部分
今回の事故電源喪失による加熱で、
燃料棒のジルコニウム製の金属被覆が水と反応して酸化(酸素を奪う)してメルトダウンし、
結果として残った水素が水素爆発を起こした事故を想定している。
2.非常用炉心冷却系は、その系統を構成する機器の単一故障の仮定に加え。
外部電源が利用できない場合においても、その系統の安全機能が達成できるように、
多重性又は多様性及び独立性を備えた設計である事。
注:今回は下線部分がすべて機能しなかったたことで大事故になってしまったのです。
指針 26 最終的な熱の逃がし場へ熱を輸送する系統
2.最終的な熱の逃がし場へ熱を輸送する系統は、
その系統を構成する機器の単一故障の仮定に加え外部電源が利用できない場合においても、
その系統の安全機能が達成できるように、多重性又は多様性及び独立性を適切に備え、
かつ 試験可能性を備えた設計であること。
注:黄色部分のようになっていなかったため事故につながったのです。
解説 本指針を適用するに当たって・・・・次のようにその解釈を掲げることとした。
[Roman6]
指針 27 電源喪失に対する設計上の考慮
長期間にわたる全交流動力電源喪失は、
送電線の復旧又は非常用交流電源設備の修復が期待出来るので考慮する必要はない。
非常用交流電源設備の信頼度が、
系統構成又は運用(常に稼動状態にしておくなど)により十分高い場合場合においては、
設計上全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい。
注:全電源喪失事故を軽く考え、対策する必要がないとなっています。
これが今回の事故につながったのです。