原発の耐震基準
原発の耐震性は基準地震動であらわしています。
基準地震動とは「施設(原発)の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性がある」地震動のことを言い、
それによる地震力に対して施設の「安全性が損なわれることがない」ように設計しなければならない・・・という事です。
要するに原発にどの位の地震が来るかを予測してそれを基準地震動として何ガルかを決め、
それに耐える様に原発を作りなさいということです。
従来は耐震ガルを2通り示の仕方をしていました。
●最初の設計地震動(ガル)
S1 その場所で実際に起こりそうな最も大きい地震(設計用最強地震)
S2 起こりそうにないが万が一に備えて想定する地震(設計用限界地震)
わざわざS1、S2にわけてどのガルにも耐える原発を作ったのです。
最初からS2の基準で作れば良いと思います。
しかし阪神淡路大地震や新潟中越地震のあとS1やS2を超えるガルが記録されたため慌てて見直しました。
そして2006年9月19日に「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」が見直されました。
その結果、「計算し直したらもっと大きい地震ガルにも耐える事が分かりました」、と新基準地震動(ガル)を2007年に決めました。
それが2006年版SS規準です。
そして更に今回ストレステストした結果更に丈夫なことが分かりましたと、大きい数字にしてしまったのです。
前にも書きましたが、
補強も修理もしないで「良く調べたらもっと丈夫でした」と言うことで
だんだん原発が丈夫になるのですから変なことです。
全国の原発の耐震ガルがどのように変化(強引に変化させた?)したかの表をまとめました。
会社名 | 発電所 | 号 | 1981年 S2旧基準 | 1995年S2 書類再確認 | 2006年 SS新基準 | ストレステスト 終了後 | 安全停止規準 2011.3.現在 |
北海道 | 泊 | 1 | 370 | 370 | 550 |
| 水平(原子炉建屋4F) 390 |
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| 2 | 370 | 370 | 550 | 1023 | 水平(原子炉建屋4F) 390 |
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| 3 | 370 | 370 | 550 |
| 水平(場所不明) 200 |
東北 | 東通 |
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| 375 | 450 |
| 水平(原子炉建屋) 290 |
| 女川 | 1~3 | 375 | 375 | 580 |
| 水平(原子炉建屋1F) 200 |
原子力発電 | 東海 | 2 | 270 | 380 | 600 |
| 水平(原子炉建屋2F) 300 |
| 敦賀 | 1 | 368 | 532 | 800 |
| 水平(原子炉建屋1F) 300 |
| 敦賀第 | 2 | 532 | 532 | 800 | 1416 | 水平(原子炉建屋1F) 500 |
東京 | 福島第1 | 1~6 | 265 | 370 | 600 | 停止中 | 水平(原子炉建屋B1) 135 |
| 福島第2 | 1~2 | 270 | 370 | 600 | 停止中 | 水平(原子炉建屋B2) 150 |
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| 3~4 | 350 | 350 | 600 | 停止中 | 水平(原子炉建屋B2) 150 |
| 柏崎刈羽 | 1~4 | 450 | 450 | 2300 | 2967 | 水平(原子炉建屋2F) 185 |
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| 5~7 | 450 | 450 | 1209 |
| 水平(原子炉建屋2F) 185 |
北陸 | 志賀 | 1~2 | 490 | 490 | 600 |
| 水平(原子炉建屋3・4F)505 |
中部 | 浜岡 | 1~2 | 450 | 600 |
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| 3~5 | 600 | 600 | 800 |
| 水平(原子炉建屋3F) 280 |
関西 | 美浜 | 1~3 | 400 | 405 | 750 |
| 水平(補助建屋B1・4) 160 |
| 高浜 | 1~2 | 360 | 370 | 550 | 935 | 水平(補助建屋B1) 160 |
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| 3~4 | 370 | 370 | 550 |
| 水平(外周建屋3F) 270 |
| 大飯 | 1~2 | 405 | 405 | 700 |
| 水平(補助建屋1F) 160 |
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| 3~4 | 405 | 405 | 700 | 1141 | 水平(周辺建屋3F) 390 |
中国 | 島根 | 1 | 300 | 398 | 600 |
| 水平(原子炉建屋BF) 140 |
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| 2 | 398 | 398 | 600 |
| 水平(原子炉建屋3F) 350 |
四国 | 伊方 | 1 | 300 | 473 | 570 |
| 水平(補助建屋B1) 140 |
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| 2 | 300 | 473 | 570 |
| 水平(原子炉格納施設) 320 |
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| 3 | 450 | 450 | 570 |
| 水平(原子炉建屋3F) 390 |
九州 | 玄海 | 1~2 | 270 | 370 | 540 |
| 水平(補助建屋B5) 140 |
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| 3 | 370 | 370 | 540 | 945 | 水平(補助建屋B1) 310 |
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| 4 | 370 | 370 | 540 |
| 水平(周辺建屋B1) 220 |
| 川内 | 1 | 270 | 372 | 540 | 1004 | 水平(補助建屋1F) 260 |
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| 2 | 372 | 372 | 540 | 1020 | 水平(補助建屋1F) 260 |
1. 旧地震動は1981年からです
1995年の阪神淡路大震災で書類上の見直しがされ、耐震性が上がった
2. 旧基準及び見直しにはS1とS2がありますが、この表ではS2のみを書きました。
S1 起こりそうな最大地震に耐えるガル
S2 起こりそうにないが万が一を想定したガル
3. 2006年に新基準が出来、S1、S2をあわせてSSと表示する事になった
4. ストレステストの結果は大幅に安全だという事が分かった???
黄色の線の部分を見てください。
不思議な事に何もしなくても調べるたびに原発はどんどん丈夫になっている事がわかります。
数倍です。
こんなにいい加減で危険な変更が一部の専門家で行なわれているのです。
5. 地震が来た時制御棒が入って緊急停止するガルが安全停止規準です。
たて・横・垂直の規準がありますが、一番大きい数字を書きました
いくら安全に緊急停止しても、
パイプ類が破損して冷却水が停止すればメルトダウンすることを今回学びました。