健康被害の実態
事故の後ベラル-シ共和国のゴメリ州にあるゴメリ医科大学では放射線被爆の研究をしています。
ゴメリ医科大学の学長を務めたユ-リ・I・バンダジェフスキ-の論文から少し引用します。
当時ベラル-シ政府の公式見解は
「低線量の放射線被爆は健康にほとんど影響はない」というものでしたから、
彼は弾圧、投獄されその後フランス、リトアニア、ビリニュスを経てウクライナで働いています。
(2012年現在)
●セシウム-137の体内濃度です。
人間ではなく人間ではなく大学による動物実験ですが傾向はわかります。
このグラフでは女性より男性の方がセシウム-137の蓄積が多いことが分かりました。
女性の方がセシウムの取り込みと蓄積が多いことがわかります。
これは動物実験の結果ですが、その後ゴメリ州の体内放射能測定でも似たような結果が出ています。
● 母親と乳児のセシウム-137の体内濃度。
これも動物実験ですが、胎児は胎盤による防御機構でセシウム移行が防がれてい ますが、
授乳により少しずつ移行し、その分母親の濃度は下がってきます。
●1997年に死亡した成人と子どもの臓器別セシウム-137の濃度
大人より子どもの方が蓄積は多く、特に心筋、甲状腺、小腸では顕著です。
何故子どもの甲状腺にセシウムが多く含まれるのかは分かっていません。
●ゴメリ州の子どもの心臓の異常のグラフが2つです。
明らかに濃度が高くなれば異常が増えていることが分かります。
放射線の被害は色々な場所に出てくる証拠です。
●肝機能の血清グルコ-スの体内濃度です。
調査は3~7歳のゴメリの子ども達で対照は同じ年代のグロドノの子ども達です。
特に37Bq/Kgで肝臓や膵臓に機能に異常があることが分かります。
放射能の影響でグル-ス低下、つまり低血糖(糖尿病 の逆) の傾向が出ています。
糖のコントロ-ルはインシュリンを始めとしたホルモンが関係していますから、
放射能がホルモンに影響を与えていると思われます。
●免疫の調査です。ゴメリの3~6歳児と対照地域(グロドノ)
調査好中球の貧食能とIgA(g/l)では低下している事が分かります。
免疫指標 | 試験(ゴメリ) | 対照(グロノド) |
好中球の貧食能 | 26.69±0.88 | 47.83±1.37 |
IgA(g/l) | 1.04±0.05 | 1.38±0.08 |
IgM(g/l) | 1.28±0.06 | 1.01±0.06 |
IgG(g/l) | 11.60±0.28 | 12.32±0.49 |
●ベトカ郡の子どもの白内障調査です。
注:1996年と1997の2度の調査ですが、体内濃度が高くなれば白内障が増えていることがわかります。
●チェルノブイリ膀胱炎 福島昭治医学博士の調査
元大阪市立大学医学部の教授だった福島昭治がウクライナの教授と共同研究した資料です。
チェルノブイリ膀胱炎と名づけられました。
ウクライナでは10万人当たりの膀胱がんが1986年の事故の後増加しました。
1986年 26.2人
1996年 36.1人
2005年 50.3人
●ベラル-シの小児甲状腺がん
次は長野県松本市の菅谷昭市長が提供したグラフです。
菅谷氏は甲状腺がんの専門医として、1996年から5年半ベラス-シ国立甲状腺がんセンタ-で働きました。
注:1986年には2例だった小児甲状腺がんが、88年には5例、90年に66例、95年に91例と増えています。
1986年から97年までの患者数は570人で、385人がリンパ節転移、94人が肺へ転移していたそうです。
福島県の検査と担当する医師は、
チェルノブイリで甲状腺がんが見つかったのは4年たってからだと主張していますが、
このグラフはそれが間違いであることを証明しています。
●父親がチェルのノブイリ原発除染作業者の場合の子供の奇形発生率
ロシア小児血液・腫瘍・免疫研究センタ-所長のアレクサンドル・ルミャンツェフ教授の来日講演資料から
父親だけ被ばくした両親の子供と、両親とも被ばくしていな子供の奇形発生率なのですが、とても分かりづらいグラフです
左から
比較対象兄・姉 事故の前も後も被ばくしていない両親から生まれた兄・姉
比較対象児 事故の前も後も被ばくしていない両親から生まれた子ども
研究対象兄・姉 父親は被ばくしたが事故前(被ばく前)に生まれた兄・姉
研究対象児 父親が除染で被ばくしてから生まれた児
注:対象兄・姉を見ると父親が被ばくしても事故前の出産ですから、当然ながらあまり変わりません。
対象児では被ばくしていない両親と、父親だけが被ばくした児童では大きく異なっています。
被ばく後生まれた子
小奇形なしが減少(奇形が増えた)
小奇形1~5が減少(奇形6個以上になったため)
その他はいずれも増えています。