制御棒
制御棒は中性子を吸収しますから
原子炉を始めに(定期点検後の再稼動も)運転する時には制御棒を少しずつ抜いて
飛び出す中性子の数を増やし核分裂反応を増やします。
一定に安定した丁度よいところ(定格出力)になった時にその状態を維持して運転を続けます。
分裂による中性子の数もバラツキがありますし、
制御棒以外でも(原子炉の壁など)中性子を吸収しますから
一旦安定した出力になったときにはチョコチョコ変更しないで維持したほうが楽になります。
つまり原子力発電所は一旦動くと昼も夜も365日調整なしで一定運転したほうが安全なのです。
そうすると夜にもフル運転しますから電気が余ってしまいます。
そこで考えられたのが夜間電力の割引と揚水発電です。
緊急時には制御棒を全て挿入して運転を停止します。
運転を止めて、つまり核分裂は止めてもその後も崩壊は続き膨大なる放射性物質と熱を出し続けます。
その熱が収まるのには水で冷やし続けても数年かかります。
その間数日水が切れると再度加熱されて燃料が溶けてきます。
つまり数年間はメルトダウンを防ぐために水で冷やす必要があるのです。
通常は使い終わった燃料(ウラン濃度の低下した燃料)は原子炉の隣の冷却プ-ルで数年冷やしていますが、
福島の事故では原子炉の中でメルトダウンした燃料を数年水で冷やす必要があります。
制御棒の形ですがBWR(沸騰水型軽水炉)では十字型をした板状で、
PWR(加圧水型軽水炉)では燃料棒と同じ円形をしています。
使用される材質は中性子を強く吸収し易い物ですが
主として「炭化ホウ素」「カドミウム合金」「インジウム」「銀」「ハフニウム」が使われます。