呼吸と異物排除の仕組み
呼吸で身体に入った微粒子が
すべて悪影響を与えるとしたら大変な事です。
人類、動物はとっくに絶滅しているでしょう。
タバコを吸っている人などとっくに死亡しているでしょう。
身体に入った微粒子はほとんど排泄されます。
考えてみれば地球の歴史の中で
多くの変化を乗り越えてきたのですから
呼吸器官や肺は非常に丈夫な組織です。
ですから健康な人は排出できますが、
排出機能が低下しているお年寄りや呼吸器官の弱い人、
特に子どもなどは気をつけたほうが良いと思います。
前のペ-ジの図を更に詳しくします。
呼吸の最初は太い気管です。
気管から順番に細かく分かれて
気管支になり更に細かく分かれて肺胞嚢になります。
吸込んだ空気は気管から23段階で肺胞に到達します。
実際には16段階目から
ガス交換機能(酸素と二酸化炭素交換)はあるようです。
先ほども書きましたが肺が異物を
排除する仕組みはとても優れています。
この仕組みが次の図です。
図の左から空気の流れとなっていますが、
細菌、ウイルス、異物などが呼吸と共に侵入します。
それをベタベタの粘液が絡め取って
口のほうに排除する仕組みです。
粘液板と書いてありますが粘液の層です。
粘液の層の下に繊毛があります。
繊毛は下の繊毛上皮細胞から生えていて(1個当たり200~250本)
1秒間に13回、口の方に向かって振動しています。
その振動で粘液を口に出しているのです。
これが痰です。
つまり気管支粘膜が分泌する痰と異物です。
私たちはあまり意識していませんが
通常1日に100ミリリットル前後出ています。
しかも24時間稼動の休みなしです。
図の説明を続けます。
粘液はどこから出るのかと言うと
所々にある杯細胞で絶えず作っています。
そして通常と異なる異物が入ってきたとき、
大きい物を飲み込んだり、食道に入る物を誤飲したり、
PM2.5のような微粒子・・・・等は
せきとして排除しなければ間に合いません。
そこで迷走神経の先端の咳嗽受容体(咳をする神系)に
これらの異物が触れたときに咳をして排除します。
加齢や喘息で呼吸系にトラブルがあると
繊毛の数が少なくなったり、動きが弱くなって、
重力に逆らって異物を排除する事が難しくなります。
この粘液板の仕組みは気管支の3段階目まで沢山あり、
4段階目以降は少なくなりますので、
小さくて異物と判断されにくい物は通過する可能性もあります。
そして心配なのは肺胞まで侵入した場合です。
小さい物は(pm1.0)は肺胞まで
到達するとされていますが、
多くはそのまま呼吸で排出されます。
肺胞に沈着したばあいはマクロファ-ジで
貪食されて気道領域に運ばれるか
リンパ系に排出されると思われます。