正常な血圧の範囲

最近は血圧が少しぐらい高くても

問題がないのでは、

という意見が増えてきました。

色々な基準も見てみましょう。

 

[日本総合健診学会のデータ-]

● 最高血圧の基準(正常な)範囲  日本総合健診学会発表

   注:折れ線グラフから数字にしたため大まかな数字です。

 全国70万人の健診結果からの年齢別の基準範囲

 基準範囲とは正常な人の95%が含まれる数値

 正常な上限と下限の範囲に入っていれば95%の範囲です

 男性の最高血圧のみ表にしてみました。

 年齢

正常な上限

正常な下限

目標の範囲

45~49

150

90

110~130

50~54

155

90

112~134

55~59

161

90

113~138

60~64

163

92

115~140

65~69

163

98

120~143

70~74

168

98

121~145

75~79

167

103

123~146

  ☆女性の表は省略しますが

   60歳以上では似たような数値になります

 55歳以上では160を越えていても正常範囲です。

 高齢者は高いほど正常に入っていますね。

 もし治療したとしても70~74歳以上では

 目標は145位であればOKです。

 最低血圧の表も省略しますが、

 中高年では100前後までは正常範囲に入ります。

 

[日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が

        協力して調査、発表]

      2014年4月5日に公表されました。

●  検査基準値及び有用性に関する調査研究小委員会から

 約150万人の人間ドック検診受診者から

 いわゆる健康人34万人を選び、

 最終的にその中から超健康人(スーパ-ノ-マル)の人

 1万から1万5千人から健康人の

 基準範囲を求めたものです。

 超健康人とは変な言葉ですが、

 超健康な人の数値は

 一体はどれ位になっているのかを

 知る上で参考になると思います。

 それによるとメタボ検診と違って

 かなり緩い基準値になっています。

 先に基準を決めるのではなく、

 健康な人はこの範囲に入っているという数字です。

 27項目を調べていますが、

 その中から血圧だけではなく参考までに、

 メタボ検診に関係のあるものも記載します。

 

男性

女性

従来(男女共)

HDLコレステロ-ル

40~92

49~106

40~119

LDLコレステロ-ル

30~80歳

72~178

30~44歳

61~152

60~119

 

 

45~64歳

73~183

65~80歳

84~190

総コレステロ-ル

 

30~80歳

151~254

30~44歳

145~238

140~225

45~64歳

163~273

65~80歳

175~280

HbA1c

4.97~6.03

 

30~44歳

4.83~5.83

5.5以下

45~64歳

4.96~6.03

65~80歳

5.11~6.20

血圧  上

    下

88~147

88~147

129以下

51~94

51~94

84以下

BMI

18.5~27.7

16.8~26.1

25以下

中性脂肪

39~198

32~134

30~149

 注:健康な人は上の血圧が88~147であること

   総コレステロ-ルは男性で254、

   65歳以上の女性で280となっています  

   血糖値(HbA1c)は6を超えています  

   日本人間ドック学会と

   健康保険組合連合会が

   協力したことでも分かるように、  

   薬の乱用は当然のことながら

   医療費の赤字になります。  

   全国の健康保険組合が赤字で

   医療費を減らす為に

   協力したのではないでしょうか。

 

日本高血圧学会も少しずつですが

基準を緩くしています。

● 高血圧治療ガイドライン 2014年

年齢

最大

最小

<75

<140

<90

家庭

<135

<85

75<

<150

<90

家庭

<145

<85

 注:75歳以下なら 

   病院で計って140、

   家でなら135まではOK

   75歳以上は  

   病院で計って150、

   家でなら145まではOK

これはガイドライン2014年版です。

ガイドラインの2017年版ではそのまま踏襲していますが。

2019年版では再び上で130に戻しました。

脳や心臓も病気の再発を防ぐ効果が判明したとのことですが、

総死亡には変化してないとの結論なので

疑問が残ります。

 

血圧が高いことが、

健康上良いか悪いかという問題と別に、

経済的問題も考えるようになりました。

そうしないと健康保険がパンクして

本当に必要な医療に支障が出るからです。

 

薬を減らすことでどのくらい医療費が

減るのかを試算した資料があります。

次の表を見てください。

 

日本人間ドック学会の基準で

薬を出した場合どのくらいの

患者が減るのでしょうか?

 

● 東海大学大櫛陽一教授の試算です。

検査項目

従来基準での病人

新基準での病人

減る人数

コレステロ-ル

4,200万人

360万人

3,840万人

血圧

2,300万人

570万人

1,370万人

BMI

1,800万人

740万人

1,100万人

ばらつきはありますが薬代が

半分から1/3位になることが分かるでしょう。

 

次には健康面、つまり血圧を無理に下げる

弊害についてお話します。

検査して血圧が高いと、

お医者さんはすぐに降圧剤を勧めますね。

しかし最近あまり無理して血圧を下げると

かえってよくないのでないかとも言われ始めました。

高いのも心配だけど、

無理して下げても本当に大丈夫なのでしょうか。

長い人生の中でその人なりに

血圧は自動で適切にコントロ-ルされています。

多くは家族的に決まるようです。

遺伝ということですね。

しかし何か問題が生じた時には

必要があって血圧は上昇します。

つまり上がる理由があるということです。

昔アパ-トの2階で一度に水道を使うと

水圧が下がって水の出が悪くなるなんて

言うことがよくありました。

或はホ-スが狭くなったり

物が詰まったりしても水が出なくなります。

その場合水圧をあげて水の出や通りを良くします。

つまり水の出が悪い原因に

対応する為に水圧を上げるのです。

私たちの身体も同じです。

必要が生じれば血圧が上がります。

もちろん人間の場合は物理的原因だけではな

く体の中で血圧を自動調整している

仕組みが狂うことでも上昇ははします。

血圧を上げる必要があって上がっているのに、

原因を解消しないで血圧だけ下げてよいのでしょうか。

その不安に対する説明をします。