始めに~血圧の状態

                          2014年11月に文京区で講座を開いた内容です

 

こんにちは、皆さんとは約1年ぶりの再会です。

今日は高血圧のお話をします。

皆さんの中には血圧を下げる薬を

飲んでいる方もかなりいらっしゃると思います。

そして色々と不安を感じている方も

居られると思います。

 

最初は私たち普通の日本人が

どのような血圧の状態のあるのかをお話します。

まず、厚生労働省が

平成26年の3月に発表した

「国民健康・栄養調査報告書・平成24年の調査」では

次のように区分しています。

 ◎高血圧有病者  

   上 140mmHg以上 又は 

   下 90 mmHg以上

 ◎正常高血圧者  

   上 130~139 

   下 85~89

病気の高血圧と正常な高血圧・・・・

なにか分かりづらいですね!

あっちこっちと気兼ねして

このようにしたのだと思いますが・・・・。

つまり140以上を高血圧、

それ以下は正常ということです。

今までの130以上を高血圧として

治療してきたことと比べると

少し緩和しています。

 

そこでこの厚生労働省の発表を詳しく見てみます。

表にしてみました。

● 血圧の分布

 男性

分類

40代

50代

60代

70歳以上

高血圧有病者

32.3%

57.3%

65.2%

75.5%

*有病者の内 服薬者

16.3%

34.7%

58.4%

71.5%

正常高血圧

19.5%

16.8%

14.3%

11.2%

*正常高血圧の内 服薬者

不明

不明

不明

不明

参考:有病者と正常高血圧の合計

51.8%

74.1%

79.5%

86.7%

 女性

分類

40代

50代

60代

70歳以上

高血圧有病者

12.6%

33.5%

52.8%

73.3%

*有病者の内 服薬者

26.0%

37.5%

61.2%

73.2%

正常高血圧

12.7%

17.0%

16.5%

10.7%

*正常高血圧の内 服薬者

不明

不明

不明

不明

参考:有病者と正常高血圧の合計

25.3%

50.5%

69.3%

84.0%

この表で分かることは

1. 従来の基準、つまり黄色の高血圧有病者

 正常高血圧の合計を見てください。   

 男性では40代から半数以上が高血圧に入ります。   

 女性では50代からです

 恐らく閉経でホルモンの変化があるせいでしょう。   

 特に60代以上では男女とも2/3以上が高血圧です。   

 高齢者ほど真面目に薬を飲んでいることも分かりますね。

2. 新基準の高血圧有病者だけを見てみます。 

 男性では50代以上、

 女性では60代以上の半分以上が

 高血圧になっています。   

 テレビで成人のほとんどが高血圧だとする

 コマ-シャルがありますがその通りですね。   

 しかし何か変だと思いませんか?   

 文明国家でしかも世界でも有数な

 「長寿の国」の国民の半分以上が高血圧、   

 半分以上が不健康なんて・・・・   

 これは、基準が厳しすぎるからだと私は思います。

 

基準が厳しくて患者が多くなれば

薬がどんどん売れます。

そこで次に薬の売上げを見てみますが、

その前にに基準がどのように

厳しく変化したのか見てみましょう。

 

基準値は、国際的、国、学会と

色々ありますが、合わせて見て見ます。

上(収縮時)だけで下(拡張時)は省略します

 

● 1990年 高血圧診療の手引き

 上が常時170~180 mmHgの人

  治療はまず、非薬物療法を行い、

  降圧剤は少量で開始、徐々に降圧を図る

 降圧の目標

  60歳代で 140~160 mmHg

  70歳代で 160~180 mmHg

1990年には、170 mmHg以上の人が

治療対象だったのです。

そして治療目標は70歳代で160mmHgだったのです。

 

● 1999年 国際高血圧学会の指針

  高血圧   上160 mmHg以上

  境界域   上140~159 mmHg

  正常血圧  上140 mmHg未満

 この時点では140までの人を正常、

 160以上を高血圧としていました。

 つまり140~159までの人は境界域として

 高血圧としていなかったのです。

 まあ少し高めですね・・・・でしょう

 

● 2000年 高血圧治療ガイドライン

 80歳代では積極的な治療を行なうべきである

 70歳代  上が160~170 mmHg以上

 治療目標は上が160 mmHg

 緩慢な降圧に心掛ける

 

● 2004年 高血圧治療ガイドライン

 いずれの年齢でも 上が140 mmHg以上

 

2004年の時点では高血圧患者は

推計で5000万人とされました。

そして少しずつ基準が

厳しくなっているのが分かります。

推計5000万人といわれる

高血圧患者に如何にして薬を売るか・・・・・

企業として売り上げ増加を

考えるのは当然でしょう。

 

それでは高血圧治療薬の売上高と売上げです。