オランダのケ-ス

オランダの場合ですが、

日本政府は連合国のオランダに対しては

個別の賠償をする考えを示しています。

1951年9月7日と8日、

スティッカ-外相と吉田首相往復書簡で話し合いがもたれました。

内容を要約します。

 

●スティッカ-

 オランダ政府は第14条の請求権の放棄によって、

 オランダ国民の私的請求権が消滅する事にならない旨を表明

●吉田茂

 オランダ国民の私的請求権が

 もはや存在しないとは考えていない

 日本政府が自発的に処置するタイプの

 請求権が連合国国民に存在すると表明

 

そして1956年3月13日、

オランダ国民のある種の私的請求権に関する

問題の解決に関する」日蘭議定書が結ばれ、

オランダ国民にに苦痛を与えたとして

1,000万ドルを提供しました。

この事を第26条の趣旨から考えると、

連合国それぞれの国民は

日本に対して請求できると解釈できます。

やはりサンフランシスコ講和条約で

全て解決済みとはいえないようです。

 

国と国が決着をつけたから

個人から国への賠償請求は

出来ないという考え方がありますが、

これについては日本の国会答弁があります。

●1991年3月26日、参議院高島審議官

 「日本人のシベリア抑留者の強制労働補償請求に関して」答弁

 ・・・・ソ連に対して放棄した請求権は

 日本国家自身の請求権で、

 日本国国民からの請求権を放棄したものではない。・・・・

 

●1991年8月26日、参議院柳井外務省条約局長

 「慰安婦や強制連行等の日本政府への補償請求」に関して

 ・・・・日韓両国が国家として持っております

 外交保護権を相互に放棄したものです。

 したがいまして、いわゆる

 個人の請求権そのものを国内法的な意味で

 消滅させたものではございません

 日韓両国間で政府として取り上げることは

 できないと言う意味でございます。

注:日本人であれ韓国人であれ政府に関わりなく

  他の国家に対して補償請求が出来るという日本政府の見解です。