軍隊の守るもの
私たち国民は錯覚していますが、
どこの国でも同じで軍隊は住民を守りません。
軍隊の守るものは国の体制、つまり時の権力者です。
これは当たり前のことで、
軍事力は権力者(政府)が意見の違う相手を
力でねじ伏せる為にあるからです。
敵国もあれば自国民のこともありますが、
特に軍人が同時に政治権力を握ると、
より荒っぽい行動が増えてきます。
日本軍の場合は天皇を守ることが任務でした。
●軍人勅諭 日本軍兵士の基本的法律のようなものです。
(読みやすくしてあります)
我が国の軍隊は世々天皇の統率するところである。・・・・
時によって皇后皇太子に代らせる事はあっても、
臣下に任せたことはない・・・・
兵馬の大権は朕(天皇自身)にある・・・・
軍人は忠節を尽くすを本文とすべし・・・・
只々一途に己が本文の忠節を守り、
義は山嶽よりも重く、
死は鴻毛よりも軽しと覚悟せよ・・・・
注:天皇の為には「死」は鳥の羽よりも軽いという意味
この言葉のために兵隊は
「天皇陛下バンザイ」と言って死んでいったのです。
戦前、君が代と一緒に歌われた
「海行かば」という歌も同じ意味です。
「海に行けば水に浮かぶ屍、山に行けば草にむれる屍」、
注:天皇のそばで死ぬ事は後悔しないと言う意味の歌です。
●戦陣訓 軍人勅諭を実行するための具体的な行動指針です。
(読みやすくしてあります)
序 夫れ戦陣は、大命(天皇の命令)に基づき、皇軍の真髄を発揮し、・・・・
深く皇国の使命を体し、堅く皇軍の道義を持し、
皇国の威徳を四海に宣揚せんことを、・・・・
本訓 其の1
第1 皇国
大日本は皇国なり。
万世一系の天皇上に在しまし・・・・
第3 軍紀
皇軍軍紀の真髄は、
かしこくも大元帥陛下に対し奉る
絶対随順の崇高なる精神に存す。
第6 攻撃精神
・・・・陣地は死すとも敵に委することなかれ・・・・
本訓 其の2
第7 死生観
死生を貫くものは崇高なる献身奉公の精神なり。
生死を超越し一意任務の完遂に邁進すべし。
第8 名を惜しむ
恥を知るものは強し、
常に郷党家門の面目を思い、
いよいよ奮励して其の期待に答ふべし。
生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残す事なかれ。
本訓 其の3
第1 戦陣の戒め
1 .軍機を守るに細心なれ、諜者は常に身近に在り
6.敵産、敵資の保護に留意するを要す
7 .皇軍の本義に鑑み、
仁恕の心能無辜(罪のない)住民を愛護すべし。
以下省略
注:この戦陣訓は東条英機がまとめたとされています。
これらをみると、日本の軍隊が国というより
天皇のみを守ることが目的だった事がよく分かります。
明治以降、天皇制を洗脳された日本軍人は
見事に「軍人勅諭」や「戦陣訓」を守ったのです。
ただ「戦陣訓 本訓 其の3 戦陣の戒め」の
敵の資産を守る事や住民を愛護する事だけは守りませんでした。
日清、日露の戦争までは比較的守ったのですが、
昭和に入ってから守られなかったのです。
沖縄では県の官吏から警察官、
教員、市町村長、兵事主任にいたるまで
「天皇の赤子」として「恥ずかしくない死に方」を県民に指導しました。
沖縄出身の軍人も皇軍としての忠誠心を発揮するために
住民虐殺に走ったことは悲しい事です。
そして沖縄に対しては表面的には日本ですが、
実際には敵に近いような扱いをしたようです。