晋東作戦での迫撃砲第5大隊の記録

1939年7月~8月の晋東作戦では迫撃砲第5大隊は

北支那方面軍第1軍第20師団歩兵第77連隊に配属され

作戦を行ないました。

その第77連隊の1939年の記録です。

歴史研究家の松野誠也さんが発見した資料を参考にします。

     (月刊誌世界 2019年8月号から)

 

●歩77作命第703号     

藤室部隊命令         

7月3日14時0分/於磨頭村部隊本部

1.旅団は本作戦間、大交鎮、張馬村間に於て

   甲号資材を使用し其作戦上に及ぼす価値を研究す

注:甲号とは「きい弾」」などのびらん性毒ガス

2.藤室部隊は作戦上支障なき限り右趣旨に基き研究す、

   よって甲号研究に伴う別紙第一注意事項を厳守すべし

3.各大隊は小銃中隊毎に長以下10名の発煙班を編成し

   置き所要に応じ大隊長に於て直轄使用すべし

4.右甲号資材は別紙第2の通り配布す

    部隊長藤室大佐

    下達法   印刷配布

 

●歩77作命第703号別紙第一     

  甲号研究に伴い諸注意事項

1.本研究に関連する命令通報報告等は総て

 「甲号」の呼称を用いて其の内容を秘匿すると共に、

 其の重要なる書類は連絡者を以てする託送に依り

 機密漏洩の防止に努めるものとす

2.甲号使用の事実の秘匿に関しては

 万全の処置を講ずるものとす、

 之がため支那軍隊以外の

 一般支那人に対する被害を極力なからしめ、

 特に第三国人に対する被害を絶無ならしむると共に、

 彼等に其の使用の事実を厳に秘匿するものとす

3.甲号使用に関し報告すべき事項左の如し

   (報告用紙は後日公布す)

 ①戦闘地名及戦闘年月日

 ②使用時刻、天候、気象

 ③使用目的及甲号資材射撃集中状態

 ④使用資材の種類及数量

 ⑤戦闘経過の概要(戦闘前の態勢、

  使用に依る戦闘経過、成果の利用)

 ⑥我彼損害の概数、特に敵の死傷者の状態

 ⑦効果に関する所見

 ⑧各種資材に関する意見及其他

以下及び別紙二は省略