朝鮮半島からの強制連行

  注:週間金曜日1067号 今田真人氏の論文を引用しました。

国立公文書館には朝鮮人の動員に関する公文書が多く保存されています。

その中には次のような書類があります。

①  「昭和19年度別録・国家総動員計画及物資動員計画関係書類3」

② 「朝鮮総督府部内臨時職員設置制中改正の件・昭和19年7月12日公布・閣議決定」

③「昭和19年度内地樺太南洋移入朝鮮人労務者供出割当数調」

④ 「昭和18年度国民動員計画の解説・企画院第3部・山内第2課長講演」

⑤ 「軍慰安所に於ける酌婦女給等の雇入・行政事務の整理簡捷化及

    中央官庁の権限の地方委譲等に関する件・昭和18年12月14日閣議決定」

⑥「第2次許可認可等行政事務簡捷化に関する件・昭和19年1月6日閣議決定」

 

これ等の書類の中でには男女別の計画数が書かれています。

つまり女性の動員数が決められているということです。

これに対しての日本政府企画院の計画には女性が含まれていません。

男性だけの動員数です。

そうすると不足人数は女性ということになります。

表に整理してみました。

今田真人氏の表に加筆しました。

●国民総動員計画による人員数

年度

国民動員計画による計画数 

正式動員計画

不足人数

内地

樺太

南洋

合計

参考

 

1939年

85,000

  

85,000

85,000

0

1940年

88,800

8,500

 

97,300

88,000

9,300

1941年

81,000

1,200

17,800

100,000

81,000

19,000

1942年

120,000

6,500

3,500

130,000

120,000

10,000

1943年

150,000

3,300

1,700

155,000

120,000

35,000

1944年

290,000

10,000

300,000

290,000

10,000

合計

814,800

19,500

33,000

867,300

784,000

83,300

 

ここで問題になるのは、次の点です。

1    動員が強制連行だったのか

2    何故正式動員計画に女性を入れなかったのか

3    不足人数の女性が慰安婦だったのか

強制連行だったかどうかは、一つ前の項目

「旧内務省復命書」を読んでいただければ強制連行だったことが分かります。

不足人数については単なる間違いではなく意図的に女性の動員を隠したものと思われます

 

④の解説書の中に質疑応答があります。

引用します。

質問:朝鮮人はどのくらひ使ってをるでしょうか

課長:数ですか・・・・毎年入れるのは其の年によって相違はありますが、

  最近は計画上は大体12万位です。

     けれども出ていくものもあり期間満了によって帰鮮するものもありますから

  そう沢山の増加は致しません。

質問:それは男子朝鮮人だけですか。女子はをりませんか

課長:をりますけれども計画の中で女子をのせたことはないのです。

     ただある方面で必要上少々女子を集団移入としていれたものもあります。

 

慰安婦だったかどうかについては⑤「軍慰安所に於ける酌婦女給等の雇入」に、

認可に付いての厚生大臣への稟伺(労務調整令)が書かれています。

労務調整令は国民徴用令と共に強制的なものです。

そして⑥では権限を日本内地に限って廃止しています。

つまり朝鮮半島では強制的な労務調整令による

軍慰安所に於ける酌婦女給等の雇入が出来たということです。

さらに⑥では動員先の職種が

「(恐らく軍)の要求に依リ慰安所的必要ニ依リ酌婦女給ヲ雇入レノ場合」

と書かれています。

 

整理すると、以下の事が分かります。

動員計画は強制的なものだった

女性の動員は秘密に行われた

女性の動員は軍の要請による慰安所の酌婦女給だった

国家や軍が直接関与していた