国際人権団体「ARTICLE19」の声明

報道の質に関しては

国際人権団体が日本を調査しています。

やはり日本の報道姿勢を問題視していますので、

2013年と2015年の声明を書きます。

 

国際人権団体「ARTICLE19」の2つの声明を書きます。

  注:ARTICLE19は

    「表現の自由及び知る権利の保護」を

    専門とする国際人権団体です。   

    1987年に設立され本部はロンドンにあります。

●  秘密保護法案を否決するよう、日本の国会に強く求める

              2013年11月12日

 表現の自由のための国際人権団体である

 ARTICLE19は、日本の国会に対して、

 現在審議中の特定秘密保護法案を否定するよう、

 強く求める。

 10月に閣議決定され、今週国会で審議中の当法案は

 表現の自由と情報にアクセスする権利(知る権利)を

 保障する国際法の基準に反している

 具体的には

 ◎秘匿される情報の定義が極度にあいまいである。

  防衛、外交、「特定有害活動」や

  「テロリズム」に関するいかなる情報にも適用可能であり、   

  政府が環境災害、人権侵害、汚職、

  または国際法によって公開されるべき   

  他の分野の情報をも隠蔽することが可能になる。

 ◎情報が特定機密にされる起源は

  5年ごとに延長することで

  その期間を無制限に延長することができる。

 ◎内部告発は公益が目的であっても

  上限10年の懲役を受ける

 ◎ジャ-ナリストが特定された情報を報道した場合、

  それが公益に資することを証明しても起訴されうる。

 ◎第21条に提示されている、

  報道の自由に関する規定は極めて弱いものである。

  それらによれば

  ☆政府は「不当」な人権侵害を避けることを

   求められているが、何が「不当」かが不透明である

  ☆報道または取材の自由に

   「十分に配慮」することを求めているだけで、   

   それが何を意味するのか具体的な定義がない。

  ☆「専ら公益を図る目的を有」するものを合法としているが、 

   「公益」の定義は政府自身が行うものとされている。

 当法案は、日本政府が福島原子力発電所の

 甚大な事故に関して、十分かつ適時の

 情報提供をしなかったことで、

 避けることができははずの死を招いた後に作成された。

 健康への権利に関する国連特別報告者は

 2013年の日本に関する報告書において、

 事故に関する情報への人々のアクセスに

 政府が多くの障害を課したことについて批判している。

 ARTICLE19は、当法案が可決されれば、

 政府にとって不都合な情報が非公開にされる傾向が、

 更に助成されるであろうと懸念する。

 ARTICLE19は国会に、当法案を否決し、

 日本が国際法を忠実に遵守するよう強く求める

 ◎秘密として特定される情報の範囲は厳しく制限され、   

  国の正当な安全保障にとって

  重大かつ確認可能な危険があるときにのみ、   

  期間を限って秘密にされるべきである

 ◎秘密にされている情報であっても、

  公開することで公益に資する場合は、

  公開されなければならない。

 ◎公益に資する情報を公表する

  内部告発者は保護されなければならない。

 ◎ジャ-ナリストは秘密に特定されている情報であっても、 

  公益に資するいかなる情報の公表に関しても

  責任を問われてはならない

 ◎「公益」の定義は、公の議論や

  アカウンタビリティ(説明責任)に実質的に関連する  

  いかなるものも広く含まれることとする。

 

●  国連表現の自由特別報告者の訪問を拒んだ

     日本政府の対応に懸念を表明する

              2015年11月19日

 ARTICLE19は、日本政府が政府職員の

 業務スケジュ-ルに照らして

 対応できない旨を主張して、

 最終段階になってデイビッド・ケイ 

 国連表現の自由特別報告者の訪問をキャンセルしたことに、

 失望している。

 ◎ARTICLE19のトーマス・ヒュ-ズ事務局長は、

  次のように述べている。   

  表現の自由に対する当局の姿勢の詳細な調査は、

  問題にされるべきものではない。   

  日本政府のような民主主義国にとっては、

  いうまでもなく優先度の高いものである。   

  日本政府は、デイビッド・ケイに会う時間を

  見つけることができないことを心配している。

 ◎ARTICLE19として驚くことは、日本政府が

  特に近年の日本における高まる批判という文脈の中で、   

  表現の自由を取り巻く国際基準の

  国内における遵守について審査のために、   

  国連の独立専門家に会いたがらないことだ。

 ◎ARTICLE19は最近、日本を訪問し、政府関係者、

  研究者、ジャ-ナリスト、弁護士、

  市民社会組織のメンバ-といった人々に会い、   

  政府の方針に対して主要メディアを

  無批判にさせている圧力を含めて、   

  日本における表現の自由と情報の自由に関する

  多くの懸念が表明された。

 ◎日本における表現の自由と

  情報の自由に対する脅威は、増大しているようである。   

  脅威には、放送の国会による監視や

  放送法に基づく免許の取り消しという脅威、   

  2014年制定の特定機密保護法による秘密の拡大、   

  表現の自由と集会の自由を制限する

  憲法改正案の提示などがある。

 ◎ARTICLE19の最近の

  「アジアにおける情報への権利に関する報告書」では、   

  これらのいくつかの脅威の詳細を調査し、

  情報公開法に基づく情報公開請求を行うものに対して   

  影響を及ぼす圧力を注記している。

 ◎ARTICLE19は、日本政府に対して

  デイビッド・ケイの日本訪問のキャンセルを再考し、   

  早期に顔を合わせて議論する機会を設定することを求める